WatchPadは外部インタフェースとしてBluetoothとIrDAを備える。入力装置としては,タッチ・パネル式のLCD,三つのファンクション・キー,マイク,リューズに組み込まれたスイッチ,加速度センサを搭載する。このうち加速度センサは,腕の角度や動きを感知するために使用する。これらの機能を用いて,(1)本人認証,(2)プレゼンテーション時のリモコン,(3)機器に近づいたときにアクションが起こされるトリガ・デバイス,(4)ノート・パソコンやPDAの情報を閲覧,などに適用できるという。研究者に配布するのは,これら以外の適用例を探り出すためである。
WatchPadは,IBMワトソン研究所とIBM東京基礎研究所が開発し,2000年夏に公開したLinuxが稼動する腕時計型コンピュータ「LinuxWatch」の設計を基に,シチズンがきょう体,入力デバイスなどを改良した。今後もソフトウェアとアーキテクチャの設計などはIBM,実装についてはシチズンが担当する。
IBMがシチズンと提携した理由は「時計のような装置の作りこみに関してIBMが得意でない」(IBM東京基礎研究所の鷹尾洋一所長)であるという。一方シチズンは「今後シリーズで提供される腕時計型コンピュータのプラットフォームが得られること,IBMのソリューション・ビジネスの一端を担い新しい成長の糧にできること」(白崎雄三取締役)などを協業の理由に挙げている。
WatchPadの仕様は以下の通り。外形寸法は幅46mm×奥行き65mm×高さ16mm。重量は43g。Linuxカーネルのバージョンは2.4で,GUIにはMicroWindowsを採用している。稼働時間は約1日で,クレイドル経由で充電する。