『日経マーケット・アクセス』(日経MA,http://ma.nikkeibp.co.jp/) が調査したところ,世界の携帯情報端末(PDA)*1の生産台数は,2000年に対前年比80%増と大幅に伸びて1000万台を突破,1087万台となった。1999年は同100%増であり,2年連続して高い成長率となった。しかし,2001年は対前年比29%増と成長率は鈍化し,1405万台になる見込みである。
 パソコンや携帯電話機など他のIT関連機器が低迷する中にあって,この成長率は高いと言えるが,「ポストPC(パソコン)はPDA」と期待され,2001年初めには2001年の生産台数が1800万台~2000万台になるとも業界内で言われた。こういった期待は大幅に外れることになりそうだ。

Palm社失速の影響が大

 PDAの2001年生産台数の見込みが年初に比べて大幅に減少した最大の理由は,シェアの半分以上を占める米Palm社の不振である。同社の2000年の生産台数は578万台でシェアは53.1%もあった。2001年に入っても2月ころまでは PDA向け部材メーカーはどこもPalm社の生産台数を1000万台前後と想定していた。ところが,2001年3月ころからPalm社の業績悪化が顕在化する。今後,業績が急回復しても10ポイント程度はシェアを下げる可能性が高い。対照的に元気がいいのが米Compaq Computer社である。同社のシェアは2000年には5.6%だったが,2001年は倍増する勢いだ。また,2000年シェア2位の米Handspring社も11.7%から2001年は2~3ポイントほど上昇する。
 なお,PDAに搭載される液晶ディスプレイはカラー化が急速に進展する。PDAの高性能・高機能化が進みカラーの必要性が高まってきたからだ。カラー比率は1999年の21%から2000年は29%へと上昇,さらに 2001年は一気に45%と半分近くを占めるようになるだろう。

(中村 健=日経マーケット・アクセス)

*1ここでの携帯情報端末は,携帯電話機などとの接続機能を含め,通信機能を持つ製品と定義した。ノート型パソコンや電子手帳,ハンディー・ターミナルやメール機能に特化した専用端末は除いた。また,携帯電話機から派生したスマート・フォンは含めていない。

注)詳しい記事は『日経マーケット・アクセス』(日経MA,http://ma.nikkeibp.co.jp/)会員用ホームページで提供。また,PDAや携帯電話機を含むモバイル機器向け中小型LCD市場について,詳細な報告書を発行している(http://ma.nikkeibp.co.jp/MA/LCD2001/を参照)

図1
●世界PDA生産台数と成長率(日経MA調べ)