『日経マーケット・アクセス』(http://ma.nikkeibp.co.jp/)の2001年4月の調査によると,国内主要企業の53.9%がリモート・アクセス*1を実現していた。2年前に既に実施していた企業は35.5%で,この2年間で18.4ポイントの増加である。さらに今後2年以内に実施予定という企業も18.8%存在し,見込み通り進むとすれば2003年には全体の7割以上にリモート・アクセスが普及することになる。
 リモート・アクセスと重なる部分があるモバイル・コンピューティング*2の利用もこの2年で進んだ。4月時点でモバイル・コンピューティングを実施していた企業は42.9%だった。2年前に比べて17.1ポイントの増加である。リモート・アクセスやモバイル・コンピューティングの利用は,業務の強化や緊急対応といった業務面からの必要性に加え,端末の低価格化や社員のリテラシー向上,さらにネットワーク環境の整備が進んだことで増加している。現時点では大企業や製造業での導入が先行している。

外部からのアタックだけでなく社内からの情報漏洩も心配

 もっともリモート・アクセスやモバイル・コンピューティングに対する課題や不安も少なくない。セキュリティー,投資対効果の見積もりの難しさ,システムの開発・運用コストの高さが3大課題である。例えばリモート・アクセスでは,「外部からの不正侵入などの点でセキュリティーが不安」という回答企業が66.5%に上った。セキュリティー問題は外部からのアタックだけにとどまらない。「社員による情報漏洩などの点でセキュリティーが不安」も55.0%と半数を超えた。システム担当者の多くがセキュリティー問題に神経を尖らせている様子が伺える。このほか「投資対効果を見積もれない」が41.9%,「システム・コスト(回線などの運用コストを含む)が予想以上に高い」も38.7%に上った。

(松井 一郎=日経マーケット・アクセス)

調査の方法

日経マーケット・アクセスが実施している「企業情報システムのモニター調査」の参加企業(400社強)を対象に,2001年4月にWWW上で実施した。有効回答数は191で回収率は45%。製造業が45.9%と多く,従業員500人以上が57.8%だった。
*1 有線,無線を問わず,ネットワークを通じて社外から社内システムにアクセスすること。情報システム担当者による運用管理作業を含む。
*2 社員が出先などでノート・パソコンやWindows CE機,PDA(携帯情報端末),携帯電話機,専用端末を利用してデータを処理したり,社内システムにアクセスしたりすること。自宅だけからリモート・アクセスをすることや,社内(屋内)における無線LANシステム,テレメトリーは含まない。なお,企業(組織)として実施しているかどうかは限定していない。また回答者(システム担当者)が把握や認識していないシステムは含まれない。

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