『日経マーケット・アクセス』(http://ma.nikkeibp.co.jp/)が調査した結果,個人のインターネット利用を中心とする端末型ダイヤルアップ接続サービスの契約数*1は,主要43社の合計で2001年3月末に2400万強だった。半年前に比べて20%弱の増加である。2000年度上半期の伸び率は24%~25%増であり下半期は減速した。
 最大の理由は,2000年度上半期に利用者急増をもたらした無料プロバイダーの成長がやや失速したこと。無料系プロバイダーの契約数(登録数)は,2000年度上半期に約120万増えたのに対して,下半期は70万~80万の増加にとどまった(主要7社の合計で2001年3月末は約220万=本誌推定=)。最大手のlivedoorは下半期の広告出稿を先送りにして会員増が緩やかになったと言う。一方,有料系プロバイダーの2000年度下半期の伸び率は無料系を大きく下回る約17%増だった。上半期(約18%増)に比べ,わずかとは言えさらに低下した。

2000年度のISP事業は半数が赤字見通し

 調査ではプロバイダー各社に事業の課題や2000年度の収益見通しについても尋ねた。半年前に比べてより大きな課題となっているのが「料金引き下げなどにより収益が悪化している」点だった。@nifty,BIGLOBEをはじめ,4分の1の企業が課題として挙げた。実際,プロバイダー事業の収益は厳しい。プロバイダー事業の2000年度収益見通しは,回答企業のうちの約半数が赤字を見込んでいた。
 契約数のトップは引き続いて@niftyである。2001年3月末の契約数はコンテンツ会員を含めて460万。半年で14%の増加だった。2位のBIGLOBEも同11%増と2桁増である。キャリア系プロバイダーではOCNが依然として平均を上回る3割程度(推定)の成長を見せ,3月末時点で専用線接続などを含めて約230万契約に達した。ODNはOCNを上回る成長を遂げた。「プーさんメール」を中心としたコマーシャル効果で初心者層を開拓した。

(松井 一郎=日経マーケット・アクセス)

*1 ここでいう契約数は,原則として端末型ダイヤルアップ・インターネット接続サービスの契約数である。法人個人は問わず,ADSLと他社ブランド分を除く。またファミリー向けプランなどで複数の人が同時に接続できる場合も1件と数える。ただし@niftyやAOLなどのように,一部のプロバイダーはコンテンツのみの利用会員を含んでいたり,退会という概念がない無料プロバイダーなどでは累計登録数になっている。

図1