日経BP社『インターネット視聴率センター』が,2000年8月末に実施した「インターネット普及率調査2000年秋」によると,収入によって,また都市部と町村部の間でインターネットの普及率に大きな差が生じる兆しが出てきた。年収や地域によるインターネット普及率の格差,いわゆる「デジタルデバイド」が日本でも顕著になる可能性が出てきた。

 収入での格差は,例えば年収1000万円以上の層では普及率が49.4%で前回(2000年3月末)に比べて9.9ポイント伸びていたのに対し,350万円以下の層では0.5ポイントしか伸びず,普及率は11.0%にとどまっている。収入が高くなるにつれて普及率が高まる傾向はあるが,特に年収350万円以下の層では普及率もその伸び率も低い水準にとどまっている。1年前,半年前に比べて収入による普及率の格差は広がる傾向にあった。さらにiモードなどインターネットに接続できる携帯電話機の所有率も,年収350万円以上の層では20%を超えているのに対し,350万円未満では10.1%に過ぎない。年収350万円以下の層は,インターネットの急激な普及から「置き去り」にされていく傾向がある。

 また都市の規模別に見ると,政令指定都市で34.6%,県庁所在都市で33.4%,その他の地方都市では32.7%と,軒並み普及率が30%を超えていたのに対し,町村部では18.5%の普及に過ぎず,都市と町村では大きな差が生じている。町村部の普及の現状は,1999年9月末の政令指定都市や県庁所在都市の平均普及率17.3%と同程度であり,都市部に比べておよそ「1年遅れ」とみなすことができる。(古賀 雅隆=インターネット視聴率センター)

●調査方法

調査対象:日本全国15歳以上の男女各1500人の合計3000人。国勢調査に基づく性年齢構成に合わせて全国の電話帳からランダムにサンプリングした。調査方法:電話調査。調査時期:2000年8月17日~28日。回答者の平均年齢は46.7歳。なおここでのインターネット・ユーザーとは,回答時点から1カ月以内に,パソコン,携帯電話,PDA,ゲーム機からWWWやインターネット・メール,パソコン通信を利用した人と定義した。詳しい分析は特別調査報告書『インターネット普及率調査2000年秋』(19万円)にまとめた。



図1 世帯収入によるインターネット普及率の違い(1999年9月,2000年3月,2000年8月)



図2 都市規模によるインターネット普及率の違い(1999年9月,2000年3月,2000年8月)