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米SCOの攻撃相手はIBMだけではない,“解決金を払うかカーネル2.2に戻れ”

畑陽一郎 2003/07/09 日経Linux

 米The SCO Group社(SCO)のCEO兼社長のDarl McBride氏に2003年7月9日にインタビューした。同社は2003年3月6日に,UNIXのソース・コードを第三者に開示することを禁じるライセンス契約に違反したとして米IBM社を相手に訴訟を起こした。また,Linuxには知的財産権侵害の問題があると主張している。(聞き手は日経Linux編集の畑 陽一郎)。

---米IBM社を訴えた理由は何か。

 2002年6月にSCOのCEOに就任後,当社が持つ知的財産権を洗い直してみると,LinuxにSCOが権利を持つコードが移転していることが分かった。そのため,2002年12月から2003年1月にかけて,UNIXを扱う大手ベンダーに対し,Linuxには問題がある旨を説明した。ほとんどの大手ベンダーはSCOの知的財産権の主張に対して同意してくれたが,米IBM社はそうではなかった。
 その後,IBM社から取り引き停止を持ちかけられたため,当社がAIXに対して与えているライセンス契約を再確認した。同時にIBM社がLinuxコミュニティに貢献したとされるコードの詳細を調査した。すると,IBM社による不適切なコードの移転が判明した。
 その後,IBM社側は全世界で当社との取り引きを停止し始め,他社に対してもSCOとの取り引きを控えるよう示唆した。この結果,IBM社を訴えることになったのだ。訴状には契約違反,不正競争防止法違反,企業秘密の漏えいなどを理由として挙げた。
 一番重要なのは,IBM社が,AIXに含まれているSCO由来のコードをLinuxコミュニティに不法に移転したことだ。IBM社とのライセンス契約では,AIXそのものや派生事項のソース・コードは極秘事項であるという文言がある。
 2003年3月7日,100日以内にこの問題を解決しないとAIXの使用権を差し止めると通知しており,6月13日以降はAIXの使用権が無効になっている。現在は,不正利用による損害賠償を求めているところだ。

---米Novell社は,UNIXの商標を依然保持しているという声明を発表しているが。

 その発表に対しては,2003年6月6日に当社が商標を保持している証拠を,既にNovell社に明かしている。

---IBM社からLinuxに移転したコードがどれなのかを教えてほしい。

 ソース・コードの該当部分は公開できない。ライセンス契約を締結していない相手には,いかなる事情があっても見せないことにしているからだ。ライセンシが改良した部分であっても,そこを公開するにはSCOとライセンシの双方の同意が不可欠となる。
 しかしながら,証拠を全く見せなければ,IBM社などのベンダーを説得できないので,2003年6月以降は,当社とNDAを結べば,本社オフィス内で,直接コードの内容を開示することにした。

---それでは,SCOの知的財産権を侵しているコードがLinuxのどの部分に相当するのか,例を教えてほしい。

 米AT&T社が,UNIXのソース・コードのライセンス供与を開始した際,ソース・コードを保護するために工夫を凝らした。ライセンシがソース・コードを非公開にすることはもちろん,そのソース・コードが実現している手法(method)も公開してはならないことにしている。SCOのソース・コードを読んだ後,違う表現で同じ機能を実現するコードを書いて公開することも禁じるということだ。これはSCOのライセンスでも引き継がれている。
 当社の独立した3つのプログラマ・チームがLinuxのソース・コードを調査した結果,現状ではIBM社がLinuxカーネルに貢献したNUMA(Non Uniform Memory Access),RCU(Read Copy Update),JFS(Journaled File System),SMP(Symmetric Multiprocessing)について特に不適切だと考えている。中には,著作権表示だけを消去して,それ以外,1字1句内容が同じファイルもあった。SMPについては直接のコードというよりも,SMPを実現する手法が不正に移転されている。そのほかにも,glibcのスレッド手法や,印刷,論理パーティションのサポートなど数多くの不正なコードが見つかった。

---IBM社がコードを漏えいした結果,何が起こったと考えているのか。

 カーネル2.2ベースまでのLinuxは,ホビー・レベルのものだった。マルチプロセッサのサポートも2個までで,信頼性も中程度だと考えている。一方,2.5ベースでは32個,NUMAを使えば128個までサポートしており,信頼性も高い。
 なぜ,わずか3年の間にこれほどの進歩が見られたのかといえば,IBM社を筆頭とする大手ベンダーが,SCOの知的財産権に引っかかるコードを不正にLinuxに移転したからだ。実際,IBM社はLinux2.2に対しては全く貢献していなかったが,2.4では300個の.Cファイルと,250のヘッダー・ファイルを寄贈している。他の大手ベンダーの追加分を含めると,2.5.69までの累計では2000個の.CファイルがLinuxに移転している。性能と信頼性の向上は,これらの不正なコードによるものだ。

---ということは,カーネル2.2ベースのLinuxには問題がないということか。

 特に問題視しているカーネル2.4以降を採用したエンタープライズLinuxに比べれば,ほとんど問題がないという表現が正しい。今後は,ワークステーション用LinuxやEmbedded Linuxについても調査を続ける。

---今後はSCOの権利をどのように主張していくのか。

 まずは,UNIXのライセンスを受けていて,Linuxにコードを不正に移転している大手ベンダーを対象にする。米Sun Microsystems社と米Microsoft社については,2003年4月までにライセンス契約を結んだ。現在,米Hewlett-Packard社とも話し合いがまとまりつつあるところだ。米IBM社との間では,まだ解決していない。だが,既に「Fortune」誌が掲載するFortune 50のうち,5社がLinuxの採用を控え始めた。このような顧客の動向からすると,1年以内にIBM社をはじめとする大手ベンダーともライセンス契約を結べると考えている。

---LinuxディストリビュータやLinuxのエンド・ユーザーに対してはどのような措置を取るつもりか。

 前述のように,UNIXのランセンスを受けている大手ベンダーを最初のターゲットに据える。次がディストリビュータだ。エンド・ユーザーに対しても,使用停止や利用料の支払いを求める権利を持っている。

---SCOは国内外でLinuxを販売していたが,現状はどうなっているのか。

 既にOpen Linuxと,SCO Linux 4.0 Powered by UnitedLinuxの両製品の販売を停止しているが,既存ユーザーに対するサポートは続けている。例えば,UnitedLinuxユーザーにはメンテナンス・パックを年に数回提供する契約になっているため,他のUnitedLinuxに参加するLinuxディストリビュータと協力して開発を続けている。しかし,UnitedLinux2.0に対してはどうするかは未定だ。
 なお,SCOのLinuxディストリビューションを利用している顧客を訴訟の対象とすることはない。例えば米Lindows.com社のLindowsOSは,旧CalderaベースのLinuxディストリビューションのOEMに当たる。そのため,対象とはしない。

---最終的にSCOは何を望んでいるのか。

 当社の知的財産権に対する損害賠償請求に各社が応じることだ。カーネル2.4以降のコードを世の中から抹殺することではない。今後,Linuxベンダーとライセンス契約を取り結ぶことができれば,2.4以降のカーネルの販売や利用に問題はなくなる。あまり望ましくはないが,当社と関係を持たずカーネル2.2からやり直すこともできるだろう。
 今回は日本の大手電機メーカーなどにSCOのUNIXライセンスについて説明するために来日した。これまではIBM社1社の問題だと考えているベンダーが多かったが,そうではない。これからは業界全体の問題になる。

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