 写真1●Sun Microsystemsの Scott McNealy会長兼CEO |
「MicrosoftとRed HatにもJCP（Java Community Process）に参加してほしい。これが私の『公開書簡』だ」（Sun MicrosystemsのScott McNealy会長兼CEO，写真1）。
Java技術とオープンソースをめぐり公開書簡が飛び交った状況（関連記事）を，McNealy氏は皮肉った。氏は，どうやらWebメディアなどがしつこく「Javaのオープンソース化」を求める記事を書き立てるのにうんざりしているようである。
JavaOne2日目の朝に行われたScott McNealy会長兼CEOのジェネラル・セッションは，冗談や皮肉が満載の「McNealy節」で終始した。Sunは，オープンソース活動に関しては，どうやら「外野」の意見はあまり聞きたくないようである。
以前の記事と重複するが，今回のJavaOneでのオープンソースに関する事実関係を記しておく。Sunは6月28日，4種類のソフトウエアをオープンソースにすると発表した。その内容とライセンス形態は以下のようになる。
・Project Looking Glass。X11上に構築したJavaベースの3Dデスクトップ環境。GPL（GNU Generaluu Public License）により公開。
・Java 3D RI（リファレンス実装）。研究開発期間に限定したJRL（Java Research License）により公開。同時に，商用目的にも利用可能な無償ライセンスJDL（Java Distribution License）でも公開する。
・リッチ・クライアント技術JDNC（JDesktop Network Component）。LGPL（Lesser General Public License）により公開。
・リッチ・クライアント技術JDIC（JDesktop Integration Component）。LGPL（Lesser General Public License）により公開。
それぞれ，開発者コミュニティ・サイトjava.netにアップロードされている。また，オープンソース化とは異なる動きだが，Java仕様策定に関してJCPメンバー以外もJava技術仕様に関する議論に参加できる「JSRコミュニティ」をjava.netに設けた。
ゲーム市場の可能性を強調
McNealy氏のジェネラル・セッションの目玉は「ゲーム」である。Sunは2年ほど前からゲーム開発者にJavaを売り込む活動を続けており，いくつかのJava製ゲームも登場している。今年は，McNealy会長のジェネラル・セッションという大舞台にゲームが登場した。Sunで「Chief Gaming Officer」の肩書きを持つChris Melissinos氏が登壇。Javaで記述したリアルタイム・ゲームのデモを見せた。
さらに，Infinium Labsの社長兼COO，Kevin Bachus氏を壇上に上げた。Bachus氏は元MicrosoftでDirect XやXboxの開発を手がけた経歴を持つゲーム業界の著名人である。Infinium Labs社はPCアーキテクチャのゲーム機を開発するベンチャー企業。Bachus氏は同社のゲーム・プラットフォームにJ2SEを搭載することを表明した（写真2，写真右からKevin Bachus氏とInfinium Labs社のゲーム機，Chris Melissinos氏，Scott McNealy会長。実機デモは見せなかった）。Javaゲーム市場の可能性が広がりつつあることを印象付けた。
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今回のJavaOneでSunが用意したメッセージは，「Java = opportunity （Javaはビジネス機会）」というもの。デモンストレーションも，1日目の医療，P2P，自動車，2日目のゲームなど，「これから開拓の余地がある」分野を重視した。もちろん，エンタープライズ分野や携帯電話分野の技術セッションは大量に開催されている。スクリプト言語Groovyのセッションや，「JSF（JavaServer Faces）とJDO（Java Data Object）の連携」といったテーマのセッションが満席となっている。Javaの「実需」に対応する個別セッションと，将来的な「ビジネス機会」を強調するジェネラル・セッションという色分けができるかもしれない。
（星 暁雄＝日経BP Javaプロジェクト）
写真1●Sun Microsystemsの
Scott McNealy会長兼CEO
写真2●右からKevin Bachus氏とInfinium Labs社のゲーム機，Chris Melissinos氏，Scott McNealy会長
