写真1●Java言語の設計者であるJames Gosling氏。脇に見えるのは最新鋭のTシャツ投げマシン
写真1●Java言語の設計者であるJames Gosling氏。脇に見えるのは最新鋭のTシャツ投げマシン
写真2●Graham Hamilton氏(副社長兼フェロー)。次期J2SE「Tigerリリース」にちなみ,本物の虎の子供も登場
写真2●Graham Hamilton氏(副社長兼フェロー)。次期J2SE「Tigerリリース」にちなみ,本物の虎の子供も登場
写真3●今後のJ2SEのロードマップ。リリース番号を1.5→5.0などと変更,リリース間隔も短縮を図る
写真3●今後のJ2SEのロードマップ。リリース番号を1.5→5.0などと変更,リリース間隔も短縮を図る(拡大表示

 米サンフランシスコで開催中のJava開発者会議JavaOne04の1日目,最新技術情報を網羅したジェネラル・セッションでは,J2EE5.0の概要やリリース時期,それにSunが開発中の新ユーザー・インタフェース技術のデモンストレーションなどを披露した。Microsoftの次期WinodwsであるLonghornの新ユーザー・インタフェースにもいち早く対応すると表明。デスクトップJava技術にも力を入れていくことを示した。

 JavaOne初日の朝一番の企画はやり手経営者Jonathan Schwartz新社長の講演だったが,その後は雰囲気が一変した。まず,Java言語の設計者であるJames Gosling氏(副社長兼フェロー,Java Development Platform and Tools部門CTO)による恒例の「オリジナルTシャツ・プレゼント」。今回は「Tシャツ投げマシン」の設計を一般公募し,入賞したマシンによりTシャツを客席に投げ入れた。圧搾空気でTシャツを飛ばすという高度な仕掛けを披露した(写真1)。

 こうした開発者会議らしいお遊びの後は,ここ数年のJavaOne名物といえる「Javaプラットフォーム・アップデート」。会場を埋めた参加者に対して,Java技術全体の最新トピックスを90分で詰め込む高密度のジェネラル・セッションである。

 登壇するのは,ばりばりの上級エンジニアであるGraham Hamilton氏(副社長兼フェロー,写真2),Tim Lindholm氏(ディスティングイッシュド・エンジニア),Bill Shannon氏(ディスティングイッシュド・エンジニア)の3名。

 講演は,まずJ2SE5.0 Tigerリリースの紹介から始まった。J2SE5.0Tigerリリースは,現在ベータ2の段階にあり,今年夏には正式版が登場する。このリリースでは「1995年のJava言語登場いらいの言語仕様の変更」が加わる。特に重要なのはメタデータで,EJB3.0,JAX-RPC2.0,JDBC4.0などメタデータを取り入れたAPIは,従来に比べずっとプログラムが簡素になる。

 今後のJ2SEのロードマップも示した(写真3)。今後予定しているJ2SEのリリース番号を1.5から5.0,1.6から6.0へと振り直すとともに,リリース間隔を18カ月程度に短縮し,新技術を取り入れやすいようにする。

 セッションでは「要注目」の多数の技術を取り上げた。例えば「Groovy」言語(JSR-241)は,「Java言語よりも動的でスクリプト言語風の小さなプログラム向けの技術」である。他のスクリプト言語,特にPHPと連携するためには,JSR-232が準備中である。

 J2EE5.0(J2EE1.5改め)の概要も紹介した。EJB3.0やJSF(JavaServer Faces)をコア技術として取り込む。J2EE5.0の正式版は,2005年後半に登場する予定である。

●「Javaプラットフォーム・アップデート」で紹介した主な新技術
・リリース番号を変更。J2SE1.5はJ2SE5.0に,J2EE1.5はJ2EE5.0に変更となった。
・次期J2SEであるJ2SE5.0「Tigerリリース」は現在ベータ2。この夏に正式版になる。
・次期J2EEであるJ2EE5.0は,2005年後半に正式版になる予定。
・リッチ・クライアント技術JDIC(JDesktop Integration Components)とJDNC(JDesktop Network Components)を開発中。LGPL(Lesser General Public License)に基づきjava.netでオープンソースにする。
・J2ME CDC上の「Tsunami」スタック。JSR-209,JSR-216,JSR-219を統合する。

(星 暁雄=日経BP Javaプロジェクト)