シナジー研究所は、MDA(モデル駆動アーキテクチャ、OMGが定める仕様)にもとづく開発環境「ArcStyler」を販売開始する。独Interactive Objects Software社が開発したもの。J2EEアプリケーションの開発を、UMLによる設計にもとづき大半のコードを自動生成する形で進めることができる。

このツールの特徴は、特徴は、(1)UMLとMDAで記述すれば、プラットフォーム独立な開発が可能なことと、(2)カートリッジ(UMLで記述したモデルから実装コードを生成するモジュールを複数種類用意することである。設計ツールとしてRational Rose、JavaツールとしてBorland JBuilderを利用しており、開発者の目にはArcStylerはこれらのツールのバックエンドで動くように見える。他の開発ツール製品と統合することも可能という。

このArcStylerは「J2EEアプリケーションの高生産性ツールでもある」(シナジー研究所代表代表取締役の依田智夫氏)。UMLで記述した設計情報に基づき、実装コードの大半の部分を自動生成する機能を備える。

生成するJavaソースコードは、MVCモデルに基づくJSP/Javaコードと、EJBコンポーネント。つまりJ2EEベースのアプリケーションの主要部分を生成できる。ターゲットとなる稼働環境を細かく指定でき、アプリケーション・サーバー製品に最適化したソースコードを生成する。もちろん、計算処理やビジネス・ルールなど細かな実装(ビジネス・メソッド)部分はJavaで記述する必要があるが、「コンパイラにかける感覚で、UMLから実際に動くJavaプログラムが出てくる」(同氏)。

このツールのポイントの一つは、設計情報(UML)と実装コード(Java)を相互に行き来する2-wayの開発スタイルを取ることができる点である。UMLとJavaを結びつける機能は、Rational XDE、JBuilder、TogetherControlCenterなど最新の開発ツールでは軒並みサポートしているが、ArcStylerは「リバースの水準、実装コード自動生成の水準とも高い」と同社は説明している。

もう一つのポイントは、プラットフォームを選ばないこと。現時点ではJ2EEプラットフォームが主な開発ターゲットだが、今後は.NETプラットフォームにも対応予定である。

設計情報から実装コードを生成する「カートリッジ」として現時点で次の各種を用意する。(1)EJB生成用の「コンパクト・ビーン」。各種アプリケーション・サーバー製品に最適化したコードを生成する。(2)「WEBアクセサ」。JSP/Javaコードを生成する。ほか、.NET用カートリッジ(C#とWebサービス)もベータ版を提供中。将来的には、例えばC#で書かれた.NET用コードから設計情報を抽出し、J2EEコードに変換する、といった開発スタイルも可能となるという。

価格は、Web層の開発機能を提供する「ArcStyler Web Edition」が70万円から、EJB層の開発機能を追加した「ArcStyler Enterprise Edition」が140万円から。対応するアプリケーション・サーバーは、IBM WebSphere V4.x、BEA WebLogic V6.x SP2、Borland Enterprise Server V5.x、IONA Orbix E2A Application Server Platform、JBoss2.4xの各種。

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