ガバナンスは統治と訳されるが,一体何のことか分かりにくい。ましてや,その上にITを付けて「ITガバナンス」と言われると,非常に近寄り難い概念に思えてくる。

 筆者は記事やコラムでなるべくカタカタを使わないようにしようと心がけているが,ITガバナンスをどう訳したらよいのか,ちょっと思いつかない。ITに関する企業の諸活動の状態を常時把握できるようにしておき,ステークホルダーにいつでも説明できる体制を整えておくこと。おそらくこんな意味だと思うのだが,ここでもステークホルダーなどとカタカナを使ってしまった。

 ITガバナンスを担うのは,企業のCIOや情報システム部門長だから,ここでいうステークホルダーとはまず第一に,経営陣や社内のユーザーを指す。さらに最近,企業に対する情報開示要求が強まっているので,IT部門の責任者といえども,株主や社外の顧客に適切な情報を開示できるようにしておかないといけない。

 ここへ来て,CSR(企業の社会的責任),サステナビリティ(持続可能性),コンプライアンス(法令遵守),内部統制(インターナルコントロール)といった言葉を目にすることが多くなっている。これらのすべてはガバナンス,つまりITガバナンスと関連がある。どの言葉をとっても重要であることは理解できるが,どうしても面倒な仕事に思えてしまう。これが多くの企業の本音ではなかろうか。

 この,やっかいなITガバナンスへの取り組み方を考える「ITガバナンス対策セミナー」が6月10日の午後開催される。ここに筆者も参加し,勉強することにした。セミナー主催者が,本欄をお読みになっている読者の方をご招待する,としているので,お時間のある方は参加されてはいかがだろうか。参加申し込みはこのサイトからできる。申し込み画面にある備考欄に「情識を読んだ」と書いていただきたい。