昨日の本欄でトレードオフに関してごく短い一文を書いたところ、読者からメールを頂いた。ある製造業の情報システム部門におられる方である。本日は読者とのやりとりを紹介する。

読者のメール
 部署内の打ち合わせで最低一度は私が口にする言葉が「トレードオフ」です。「お金はかけたくないけれどセキュリティは万全にして欲しい」なんて子供のわがままみたいな要望は受け入れられませんからね。

筆者の返信
 この間会ったあるメーカーのエンジニア兼マネジャ(機械と電機、非IT)の方は「自分の仕事を一言で説明するなら『トレードオフの判断』」と言ってました。ところでトレードオフのうまい日本語訳はないでしょうかね。

読者の返信
 私自身もいい日本語訳が思いつかないので、いつも「トレードオフ」とそのまま使用しています。大辞林には「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという二律背反の関係」とありますが、日本の文化に「一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない」という認識が根付いてないので該当する言葉が見あたらないのではないでしょうか。

お知らせ
 筆者はトレードオフについて、エレクトロニクス技術者向けサイトであるTech-On!にコラムを書いた。本欄でお知らせするのを忘れていたが諸般の事情によりITProに続いてTech-On!にもコラムを連載することになった。名称は「さよなら技術馬鹿」と言うもので、日経ビズテック編集長仲森のイラスト付きである。