ちょっと前に書いた話の続きである。10月19日付日本経済新聞朝刊に「日本IBMがスルガ銀行から『オープンシステムを採用した』次世代基幹システムを受注」という記事が出た。なぜか翌日20日になって、日本IBMが本件に関する参考資料を発表した。それを読んだところ、なかなか面白いことが分かった。

 「なぜか翌日になって」というのは、通常であれば同じ19日に、正式発表文が日本IBMから出されるのが通例だからだ。筆者は19日の朝、新聞を読んで情識の一文を書き、出社後、日本IBMから正式発表文が送られているのを待っていたが来なかった。

 翌日20日になって正式発表ではなく「参考資料」として、スルガ銀のプロジェクトに関する発表文が送られてきた。面白かった点は、スルガ銀が次期システムでIBM製のメインフレームとUNIXサーバーを採用すると書いてあったことだ。

 19日の新聞記事には、ハードウエアのことまでは書いていなかった。当該記事ではオープンシステムを「市販のコンピューター部品や基本ソフト、業務ソフトなどを集めて構成したシステム」と定義していた。メインフレームを「市販のコンピューター部品」とみなせば、記事は間違っていない。

 惜しむらくは記事の後半に、オープンシステムに対立するものとして、メインフレームを挙げていたことだ。これではスルガ銀がメインフレームを使わないかのように読めてしまう。

 ちなみにその記事でメインフレームの定義は「コンピューターと基本ソフト、応用ソフトの開発・運用をすべて単一のメーカーがまかなう」となっていた。スルガ銀の次期システムで採用する応用ソフトの基本部分は米国の金融サービス会社が開発している。したがってスルガ銀が採用するのは、新聞の定義によるメインフレームではない。

 なお19日の記事の中で、オープン系銀行システムの例として「日本IBMとスルガ銀」「NECと八千代銀行」「富士通と東邦銀行」「アイフレックスソリューションズ(インドのソフト会社)と新生銀行」「日本ユニシスと百五銀行」が挙げられていた。このうち東邦銀行は富士通製メインフレームを利用している。アプリケーションも富士通が開発しており、「コンピューターと基本ソフト、応用ソフトの開発・運用をすべて単一のメーカーがまかなう」事例である。