今朝の日本経済新聞朝刊に、日本IBMがスルガ銀行から次世代基幹システムを受注した、という記事が出ていた。特徴は「オープンシステム」を採用したことという。無論そんなことは特徴ではない。

 本欄をはじめ、あちこちで書いたり話したりしているが、メインフレームを使い続けるか、オープンシステムと呼ばれるUNIXサーバーやIAサーバーに切り替えるか、といった議論は不毛である。重要な問題は、そうしたコンピュータの上で動くアプリケーションをどう用意するか、そして時代の変化に合わせてそのアプリケーションをどのように修整していくか、という点であるからだ。

 ここまで書いて「いつも同じことを書いている」と反省し、新聞記事を読み直した。すると今朝の記事におけるオープンシステムの定義は、これまでの新聞記事とはいささか違っていることに気付いた。新聞によるとオープンシステムの定義はこうなっている。

 「市販のコンピューター部品や基本ソフト、業務ソフトなどを集めて構成したシステム」
 
 つまり業務ソフトのことまで含んでいる。記事本文にも「預金や住宅ローンなど商品ごとに市販のソフトを組み合わせて設計するオープンシステムを採用した」とある。市販のコンピューターや基本ソフトで動く、預金や住宅ローンの市販ソフトが日本にそれほどあるとは思えない。おそらく日本IBMが用意した、次世代銀行システムをソフト部品の形で組み上げる手法を採用するのであろう。ただしスルガ銀は米国システムインテグレータのCRMソフトを採用した実績を持っているので、自力で市販ソフトを探し出していくのかもしれない。

 ところで最近の市販ソフトはLinuxという基本ソフトの上で動くようになってきており、そのLinuxはメインフレーム上でも動く。となると新聞の定義ではメインフレームを使ってもオープンシステムを構築できることになる。「市販の基本ソフト、業務ソフトなどを集めて構成したシステム」を実現できるからだ。さすがにメインフレームのコンピューター部品は市場で売っていないので、「市販のコンピューター部品」を集めてくるわけにはいかない。ただそれならUNIXサーバーでも同じである。

 こう思ってさらに新聞を読み直すと、オープンシステムに対立するものとして、メインフレームが挙げられており、その定義は次のようになっていた。

 「コンピューターと基本ソフト、応用ソフトの開発・運用をすべて単一のメーカーがまかなう」

 ここでいう応用ソフトが何かは不明である。業務ソフトなら単一のメーカーがまかなうわけはない。データベースやトランザクション処理モニターのことであろうか。無理にオープンシステムとメインフレームを比較するから、ややこしくなる。自分の原稿の中だけでも単純な比較論を一掃したいと思う。