引き続き、インターネットがメディアに与える打撃に関して読者から寄せられたご意見を紹介しつつ、一応のまとめをしてみたい。

 まず、情報システム部門に勤務されている40代の方が5月11日付で書き込んだ意見を再掲載する。文章は一部修整した。

読者の書き込み

「インターネットが既存メディアに与える打撃について、谷島さんの危機感が伝わってきます。ただし前書きに登場していた若手経営者が指摘するような、深みのある議論が記事より先に進んでいる、という事象は、まだまだ一般的ではないようにも思います。また、さしあたり議論を要しない内容の報道や、紙の持つ一覧性の優位性を考えると、まだまだ紙媒体というものも十分有効ではないか、というのが私の意見です。もっとも、ある読者の方がご指摘していた『新聞記事がうすっぺらだ』という点には同感ではありますが・・・」

筆者の意見

 筆者がコメントを引用した若手経営者は、インターネット関連のソフト販売を手がけており、四六時中、インターネットを使っている。したがって読者が指摘するように「一般的ではない」。

 そして紙の持つ一覧性は確かにほかのメディアで代替することは確かに難しい。新聞をぱらぱらとめくっていると、まったく関係ない二つの記事がたまたま目にとまり、その結果、何かを思いついたりする。こうしたことをパソコン上で体験するのは無理だ。

 今週月曜日、ある勉強会に出席して、インターネットと紙媒体の差について話をした。その時の出席者からは、「インターネットと紙は対立するものではない」「紙が売れないのであれば、それはインターネットに流れたのではなく、紙の情報が詰まらないからだ」といった意見が相次いだ。

 しかるべき記事を書いておれば、紙媒体の寿命はまだ延びるかもしれない。

 もう一点、本欄の愛読者から寄せられたご意見を紹介する。これは、情報システム部門に勤務されている方から送られたメールである。メールの件名は、「脅威になるかどうかは、仕事の取り組み方次第」というものであった。文章は一部修整してある。

読者のメール

「インターネットは即時に情報を発信できるというメリットがありますが、まだまだ誤報が多いです。紙の媒体は情報の発信がどうしても遅れてしまいますが、一面的ではなく多面的に情報収集をしてから発信できるメリットがあります。インターネットが脅威になるかどうかは、記者や読者の仕事への取り組み方次第ではないでしょうか」

「わたしの周囲には、パソコンすら持っていない人や、持っていてもオフラインで使用しているアナログな人がいます。インターネットと紙は各々のメリットとデメリットを活かし、共存していくとしか思えません」

筆者の意見

 記者の仕事は多面的に情報を収集し、整理することである。昨日書いたように、その情報の「新規性や、市場へ与える影響、競合他社の動き」などを調べなければならない。結局、基本的なことをしっかりやるということである。

 ただ情報収集の方法は多様化しつつある。基本は人に会って取材することだが、それだけでは限界がある。インターネット上にある情報は玉石混淆である。その中からダイヤモンドを見つけ、さらに取材をして磨き上げる努力が欠かせない。

 携帯電話を持たず、新三種の神器も購入しない筆者は、「アナログな人」に分類されよう。インターネット上のダイヤモンドをどうやって探せばよいか。人から教えてもらうしかない。

 結局は取材に始まり、取材に終わるわけだ。非常に月並みな結論になったが、これでよいと思っている。