インターネットがメディアに与える打撃について話を続ける。弊社の若手記者が「ネットがメディア・マスコミのあり方を変えるという難しいテーマにもチャレンジして欲しいと思います」というメールを送ってきた。

 なぜ記者のピークをとうに過ぎた筆者がチャレンジしなければならないのか,こういうテーマこそ若手記者向きではないか,と思ったが,彼のメールは面白いので紹介する。

「いいかどうかは別にして,今やWebやメールは記者にとって欠くことのできない主要な取材ソースの一つになっています。一次情報はネットに転がっていることが多いからです。そうした一次情報が最初に公開される場は,ネットの掲示板や個人のホームページ、ブログなどです」

「質はどうであれ、ダイヤモンドが混じっていることは事実だし、素人が発信できてしまうことも事実。読者も玉石混合は分かっていて、様々な情報を拾いながら多面的に情報の価値を分析するスキルが養われています。すでに既存のメディア・マスコミは閲読時間の大半をネットに奪われ、リアルワールドの発行部数の成長は止まっています」

「この状況下で、既存のメディア・マスコミはどう動けば良いのか。今まで通りでよいのか。是非、検証して欲しいです」

 今まで通りでよいということはない。といってWebやメールばかり見ている人を記者とは呼びにくい。インターネット上の情報群の存在を意識しつつ,記者本来の取材力や分析力を加味して深みのある記事を書く。その記事が面白ければ読者は付いてきてくれるはずだ。

 自分で書いておいてなんであるが,この結論は非常に紋切り型である。このことは記者の基本であって,インターネットが出現してもしなくても変わりはない。「誰でも書けそうな記事を書く記者はインターネットによって駆逐される」ということだろうか。