オランダの著作権管理団体(BUMA)とベルギー著作者作曲家出版者協会(SABAM)は,インターネット・ラジオ局やオンライン音楽販売業者など,オンライン音楽の商用ユーザーに対して設けていたクロス・ライセンシングに関する制約を排除する意向である。欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が8月17日に明らかにしたもの。

 米メディア(CNET News.com)によると,欧州の16の著作権使用料徴収団体は,商用ユーザーが欧州全域における著作権を取得したい場合,「economic residency clause(経済的居住条項)」に基づいて,自国の団体を通じてのみ取得可能であるべきだと主張していた。

 しかし,ECは昨年4月,オフラインの世界で締結している各国間のクロス・ライセンシング契約を,そのままインターネットの世界に適用するのは不適切だとする声明書を発表していた。ECは,著作権保護と不正コピー防止の必要性を認識する一方で,欧州経済地域ではオンライン音楽サービスを“ワン・ストップ”で購入できるようにすべきだと考えている。

 EC競合検査官のNeelie Kroes氏は,「オンライン配信はアーティストと消費者に多くの恩恵をもたらすことができる。ライセンシングに関する各国の取り決めが,欧州全域を一つの市場として発展させる妨げにならないようにしたい」と説明した。

◎関連記事
米最高裁,PtoPベンダーに対する著作権侵害の責任追及を認める
米Macrovision,音楽CD向け著作権保護の特許技術群をライセンス提供
米国で導入が進まない「コピー・コントロールCD」
非商用の音楽配信でも使用料徴収。JASRACが7月開始,決済はネット上で可能に
米連邦地裁が米ベライゾンに音楽ファイル交換サービスのユーザー名開示を命令
デジタル時代の重い課題<著作権保護c,CDのコピー防止機能でひと騒動
米MP3.comが音楽著作権登録のオンライン・サービス,5分で手続き,費用は60ドル
ネット音楽配信の著作権使用料規定--一部修正で認可

[発表資料へ]