Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は,世界の小売業界において,Linuxソリューションの導入が進んでいることを米国時間8月4日に明らかにした。この発表は,米BakBone Software,米Hewlett-Packard(HP),米IBM,米Novell,米Red Hatといった大手ITベンダーの協調によって実現した。

 小売り業界の分析を手がける米IHL Consulting Groupによれば,小売業界におけるLinuxの導入は2003年から2004年にかけて34%増加している。新規市場参入企業とLinux人気の高まりにけん引されてPOS(販売時点情報管理)システムの平均価格は,過去2年間で大幅に低下しており。2002年の4000ドルが2004年には1000ドルになっている。

 OSDLのCEOを務めるStuart Cohen氏は,「小売業界では,レガシー・システムの製造中止が近づくにつれ,柔軟性,信頼性,低コストを求めてLinuxを導入する企業が増加している。大手ベンダーとISVの両方から多数のLinuxベースのソリューションが提供されており,その傾向を促進している。小売業界では,コスト削減,サプライ・チェーンの合理化,利益率の改善が最重要視されている」と説明している。

 米IDCが7月に発表した調査結果では,小売業界の2005年におけるIT投資額は210億ドルを超えると推定している。

 米国でデパートを経営するBoscov社は,Linuxをメインフレーム・ソリューションに導入したことにより,ソフトウエアとシステム管理経費が3年間で100万ドル近く節約できたとしている。また,スペインの大手スーパー・チェーンのMercadona社は,Red Hat技術の導入により,顧客のレジにおける支払いプロセスが容易になり,パフォーマンスの改善にも成功したとしている。

 小売業界の顧客を抱えるOSDLメンバーは,「Linux製品は,信頼性,リモート管理機能,柔軟性,コスト,新しい技術への対応といった面で同業界の顧客特有のニーズに対応できる」コメントしている。

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