ソニーとドイツBertelsmannの合弁会社Sony BMG Music Entertainmentは,自社の楽曲を放送してもらう見返りにラジオ局に贈賄を行っていたことを認めた。本件の調査に従事していたニューヨーク州検事総長Eliot Spitzer氏が米国時間7月25日に明らかにしたもの。Sony BMG社は今後はそのような不正行為を停止し,またニューヨーク州の音楽教育向上のために,ニューヨークの慈善団体に1000万ドルを寄付することに同意した。

 ニューヨーク州検察局が,業界内部からの告発により1年間調査を行ったところ,Sony BMG社は特定のアーティストの曲をオンエアしてもらう見返りに,ラジオ局とその従業員にさまざまな贈賄を行っていたという。

 贈賄は,休暇旅行や電子機器といった高額商品,視聴者向け賞品の提供,ラジオ局の運営費負担など,さまざまな形で行われていた。また,広告と銘打って曲を流す放送時間を確保するためにわいろを贈ったり,わいろを支払う仲介人としてにプロモータを利用するケースなどがあったという。

 またSony BMG社の社員は贈賄の事実を隠すために,虚偽の「コンテスト優勝者」をねつ造し,ラジオ局の社員に対する不正な支払いや贈賄が,番組の視聴者に贈られるものであるかのように見せかけていた。

 ニューヨーク州検察局によると,Sony BMG社のこうした行為はラジオ番組のチャート情報を操作し,消費者の関心を高め,レコードの売上げを伸ばすことを目的としていたという。このような贈賄は,州法と連邦法の両方に違反する。

 Spitzer氏は,「自由経済において,積極的な製品の売り込みが存在するのは当然だ。しかし,それは法の範囲内で独創的に行われるべきで,Sony BMG社は守るべき一線を越えていた。その不正な悪しき習慣は改めなければならない」と述べている。

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