Webブラウジングにおける標準技術の普及を図る団体Web Standards Project(WaSP)は,Document Object Model(DOM)Scriptingの普及促進組織「WaSP DOM Scripting Task Force」を設立した。WaSPが米国時間7月18日に明らかにしたもの。

 DOMはXML文書の内容,構造,スタイルをアクセスしたり動的更新したりするための,プラットフォーム/言語非依存インタフェース仕様。Web関連技術の標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が策定した。DOM Scriptingは,DOMを使って文書の構造を操作するためのスクリプト手法である。ほぼすべてのWebブラウザで使用することが可能という。DOM Scriptingの応用例としては,米Googleがメール・サービス「Gmail」や地図サービス「Google Maps」で使っているAsynchronous JavaScript+XML(Ajax)がある(関連記事)。

 現在のDOM Scriptingが置かれている状況について,WaSPは「時代遅れの文書と,入手しにくく,固有のブラウザに依存したバグの多いサンプル・スクリプトのせいで,普及が阻まれている」と説明する。「Web開発者は,“そのようなスクリプトを実装すると,障害者や,普及率の低いWebブラウザ/OSのユーザーを遠ざけてしまう”と恐れている」(WaSP)

 「フロント・エンドのプログラマに必要な技術は,構造を定めるXHTML,レイアウトを指定するCSS,動作を決めるDOM Scriptingという3本の足を持ついすにたとえられる。足の長さはすべて同じであるべきだ。DOMは7年前にW3C標準となり,Webブラウザによる対応状況も比較的よいにもかかわらず,現時点では“動作”の足が最も短く,活用されておらず,理解もされていない」(WaSP創設者のPeter-Paul Koch氏)

 DOM Scripting Task Forceでは,Webブラウザ非依存のサンプル・スクリプトを公開してDOM Scriptingを普及させ,現在の問題を解消していく。

◎関連記事
新手法「Ajax」登場を機に見直し迫られるWebの操作性
【PHPウォッチ】第17回 PHP+Ajaxで作るスマート・クライアント
Webアプリのパラダイム・シフトか,米Googleなどが切り開いた新手法「Ajax」
W3C,一連のDOM仕様を完成
Gooがマウスのドラッグで滑らかに動く地図情報サービスを公開,「Ajax」を利用
Javaを脅かすPHP,大手テクノロジ企業が続々支持
Flashが標準クライアントになる日
Web Standards ProjectがWWWアクセシビリティ向上を図り,WWW開発者向け教育活動に着手

[発表資料へ]