米QUALCOMMは,同社が保有する特許7件が侵害されたとして米Broadcomを米カリフォルニア州サンディエゴの連邦地方裁判所に提訴した。同社が米国時間7月11日に明らかにした。

 問題とされる特許技術は,GSM/EDGEチップとWi-Fi半導体に関連するもの。このうち6件は,GSM対応携帯電話に使用されている集積回路に関する特許技術で,残りの1件はWi-Fi機器に利用されている半導体チップに関連するもの。同社は,製品製造/販売の差し止めと損害賠償の支払いを求めている。

 QUALCOMM社シニア副社長兼法務担当責任者のLouis M. Lupin氏は,「Broadcom社の事業に関する最初の調査を行なったところ,多数の主要製品ラインにおいてQUALCOMM社の特許が侵害されていることが明らかになった。当社の知的資産がCDMAに限定されていると考えている人は,QUALCOMMの広範囲に渡る事業や,これら知的資産が生成されるに至るまでの研究開発を見過ごしている」とコメントしている。

 同年5月,Broadcom社は,有線/無線通信技術とマルチメディア処理技術に関する特許10件が侵害されたとしてQUALCOMM社に対して訴訟を起こしている。QUALCOMM社が,同社のマルチメディア/コンバージェンス用各種チップや携帯電話機向けVoIP技術QChatなど,ベースバンドおよび無線IC製品で当社の特許を侵害したと主張している。

 また,7月には,携帯電話向け技術やLSIの販売活動などで米国の独占禁止法に違反したとして,QUALCOMM社を提訴した。不公正な商習慣に対する終局差し止め命令と損害賠償を求めている。同社は,「QUALCOMM社によるCDMA技術の独占は,米国における携帯電話機の価格上昇を招いてきた。法廷には,第3世代携帯電話機がCDMAと同じ状況になることを阻止してもらいたい」と提訴の目的を説明している。

 さらに,米国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)に対しても,Broadcom社は,「QUALCOMM社が,当社の特許5件を侵害しているICやその他製品を輸入するという不公正な貿易を行った」と5月に訴えている。ITCに調査と,該当製品の輸入禁止命令および販売禁止命令の発行を要求している。

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