ナノテクノロジ業界について調査しているコンサルティング会社である米Lux Researchは,同業界に関して調査した結果を米国時間6月29日に明らかにした。同社によれば,米国は同技術に関して投資,特許,出版物などほぼすべての調査カテゴリで首位をおさめているが,その地位は脅かされていると警告している。

 調査の結果,同技術の研究に対する投資額は,米国がもっとも多いことが明らかになった。米国の政府機関は,2004年にナノテクノロジの研究開発費に16億ドルを投じており,日本の10億ドルを大きく上回っている。

 また,民間部門においても同技術に対する企業の投資総額38億ドルのうち,米国企業による投資が17億ドルで首位についている。米国特許商標庁が認定したナノテク関連の特許技術も米国企業によるものがもっとも多かった。

 報告によれば,ナノテク研究への投資額は,絶対基準において米国政府はもっとも多いが,相対基準でみるとアジアの競合国が上回っている。また,ディスプレイへのカーボン・ナノチューブの応用といった有望な部門において,米特許商標庁が認定した特許数は,日本と韓国が米国の数を上回っている。

 調査担当副社長のMatthew M. Nordan氏は,「世界的なリーダーシップを維持するために,米国の政策立案者は,ナノテク研究への連邦資金を増強し,環境,健康,安全問題を取り巻く規制の不明確性を取り除く必要がある。また,同技術の応用に関する金銭的誘因を提供し,輸出規制にも取り組まなければならない」とコメントしている。

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