米国のセキュリティ,ソフト,銀行など異なる分野の業界団体と企業が米国時間6月29日,米上院外交委員会に対して欧州会議(CE:Council of Europe)の「Convention on Cybercrime」(サイバー犯罪条約)の批准を要請する書簡を送った。

 書簡では,増加する詐欺,身元情報窃盗,ハッキング,その他のコンピューター・ネットワークをベースとする犯罪に立ち向かうための世界的な協力の重要性に焦点を当て,上院に条約の見直しを求めている。

 書簡は,コンピュータ・セキュリティ関連の業界団体Cyber Security Industry Alliance(CSIA),ソフトウエア業界団体のBusiness Software Alliance(BSA),米銀行協会(ABA:American Bankers Association),Association for Competitive Technology(ATA),米VeriSign,米InfraGardなどの連名で送付された。

 サイバー犯罪条約は,コンピュータ・ネットワークに混乱を起こす犯罪,個人情報の不正利用,インターネット技術を使った従来型の犯罪に対して,世界的に立ち向かう上で重要な役割を果たすと指摘。現在までに,調印した42カ国のうち8カ国が批准手続きを完了している。

 サイバー犯罪は国境を越えて起こるために,既存の法律では対応しきれない。同条約は,この種の犯罪の捜査や起訴を国際的に協力して行うためのもの。米国政府は2001年11月に同条約に調印しており,George W. Bush大統領は議会に対し批准を求めている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,米電子プライバシ情報センター(Electronic Privacy Information Center)は前年,プライバシと人権保護を侵害する捜索技術が作成されることを懸念して,同条約を批准しないように求める書簡を上院外交委員会に送っている。

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