ユーザー認証技術の標準化団体Liberty Alliance Projectは,携帯電話機のショート・メッセージング・サービス(SMS)とマルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)で利用可能なシングル・サインオン(SSO)仕様「Content SMS & MMS(CSM)Service Interface Specifications」を策定するため,検討グループを発足させた。Liberty Alliance Projectが米国時間6月20日に明らかにしたもの。
Liberty Alliance副会長でフィンランドNokiaのWebサービス担当ディレクタであるTimo Skytta氏は「モバイル通信事業者やコンテンツ・プロバイダは,SMS/MMS関連サービスから大きな収益を期待できる」と述べる。その一方で,同氏は現行サービスの問題点を以下のように指摘する。「ユーザーは電話番号を業者に伝える必要がある。こうした業者は入手した情報を簡単に転売できるので,プライバシ侵害やスパム増加といった危険もある」
CSM Service Interface Specificationsは,ユーザーとSMS/MMSメッセージを送受信するためのインタフェースをコンテンツ・プロバイダに提供する。同インタフェースを介してやり取りすることで,ユーザーは電話番号やメール・アドレスなどを業者に知らせることなく,コンテンツの購入などが行えるようになる。
仕様の開発は,Webサービス対応SSOフレームワーク「Identity Web Services Framework(ID-WSF)」をベースに進める。コンテンツ・プロバイダごとに異なる識別情報を提供する機能や,識別情報を定期的に更新する機能,特定のプロバイダに提供した識別情報を無効化する機能などの追加も行う。
Liberty Alliance Projectは6月15日に,同検討グループの会合で同仕様に対応したコンセプト・アプリケーションをデモンストレーションした。同アプリケーションはWebサービスの形態をとっており,米Trustgenixと英Vodafone Groupが開発した。ID-WSFのほか,Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)のSSO仕様であるSecurity Assertion Markup Language(SAML)にも対応している。
同検討グループのメンバー企業は,スウェーデンEricsson,米Neustar,米Sun Microsystems,Symlabs社,スペインTelefonica Moviles,Trustgenix社,Vodafone社。
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