米IDCは米国時間6月16日に,2005年および2006年におけるパソコン市場の展望について調査した結果を発表した。2005年の世界パソコン出荷台数は前年比11.4%増の1億9920万台に達し,2006年は同9%増の2億1700万台に拡大する見込み。ノート・パソコンの普及と低価格化が,市場の成長を後押しする。

 同社は今年3月に「日本市場の回復が遅れていることや米国市場の見通しが不透明なことから,2005年の世界パソコン出荷台数は従来の見込みを下回る」として,2004年11月時点の予測を下方修正。その際,出荷台数の伸び率見通しを2005年に前年比9.7%増,2006年に同8.6%増としたが,今回これを上方修正する。

 IDC,Worldwide Quarterly PC Tracker部門ディレクタのLoren Loverde氏は,「過去数四半期の積極的な価格競争とマーケティングにより,市場は活気を維持している。全体的な成長率は1ケタ台に減速する方向にあるものの,すべての地域において堅調に伸びると予測する」と述べた。

 中欧および東欧,中東,アフリカ,中南米などの新興市場では,2005年および2006年に年間20%以上の伸びをみせ,アジア太平洋地域と西欧は年間13~15%増となる見通し。米国の伸び率は他の地域を下回るが,「2005年の出荷台数は前年より500万台近く増加する」(IDC,Client Computing部門バイス・プレジデントのRoger Kay氏)。

 各地域に関する主な予測は以下の通り。

・米国:消費者向けパソコンの需要が依然として高いが,企業向けは年末に向かうに従って弱まる。ノート・パソコンが引き続き市場成長のカギを握り,デスクトップ・パソコンの伸び率は2006年には0~5%増ていどに落ちる。

・西欧:消費者分野の高い需要は2005年第4四半期まで続く。積極的な価格設定とブロードバンドおよびデジタル・エンターテインメントの普及が市場を盛り上げる。ただし,買い替えが落ち着くとともに,全体的な伸び率は年内に減速し始める。

・日本:引き続き消費者分野の需要が高いが,企業分野が軟調であることや,きまぐれな消費者の存在により,全体的な伸び率は5%増ていどに制限される。

・(日本を除く)アジア太平洋地域:中国の需要増と経済成長が同地域の成長をけん引する。鳥インフルエンザや自然災害などのリスクにもかかわらず,ノート・パソコン,消費者および小企業分野が好調に伸び,2006年まで2ケタ成長を続ける。

■2002~2006年,米国および世界市場におけるパソコン出荷台数(単位:100万台)

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地域                         2002年 2003年 2004年 2005年 2006年  
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米国出荷台数 
消費者向けパソコン            17.1   20.0   21.8    23.6    26.2
企業向けパソコン              30.5   32.7   36.5    39.3    41.9
合計                          47.6   52.7   58.3    63.0    68.1

世界出荷台数
消費者向けパソコン            49.8   56.6   64.2    72.4    79.1
企業向けパソコン              88.4   98.2  113.9   126.8   138.0
合計                         138.2  154.8  178.1   199.2   217.0
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出典:IDC注:2005年,2006年は予測データ
■2003~2006年,米国および世界市場におけるパソコン出荷台数の伸び率(単位:%)

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地域                                2003年  2004年 2005年  2006年
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米国の伸び率
消費者向けパソコン                   17.3%   8.9%   8.5%  10.8%
企業向けパソコン                      7.2%  11.7%   7.8%   6.4%
合計                                 10.8%  10.6%   8.0%   8.1%

世界の伸び率
消費者向けパソコン                   13.6%  13.5%  12.8%   9.2%
企業向けパソコン                     11.2%  15.9%  10.6%   8.8%
合計                                 12.0%  15.0%  11.4%   9.0%
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出典:IDC注:2005年,2006年は予測データ

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