米IBMは,ニューヨーク州ヨークタウンハイツにある研究施設IBM Thomas J. Watson Research Centerでスーパーコンピュータ・システム「Watson Blue Gene」(愛称は「BGW」)を構築した。IBM社が米国時間6月13日に明らかにしたもの。演算速度は91.29テラFLOPSあり,「民間所有のスーパーコンピュータとしては世界トップの性能で,総合ランキングでもトップ3に入る」(同社)という。

 「冷蔵庫ほどの大きさ」(同社)のラック20台で構成する。「従来システムに比べサイズは半分以下で,処理能力は3倍ある」(同社)。米メディアの報道(CNET News.com)によると,同システムのベースとなる「Blue Gene」システムは,各ラックに1024個のプロセサを搭載できる。1ラック当たりの価格は約200万ドルという。

 同社は,生命科学,流体力学,材料科学,量子化学,分子力学などの科学/技術分野や,ビジネス分野の解析に利用するとしている。米エネルギー省(DOE)の助成プログラム「Innovative and Novel Computational Impact on Theory and Experiment(INCITE)」の一環として,学術および工業分野の研究者に対する演算リソース提供も行う。

 なお,BGWの兄弟システムに相当する「BlueGene/L」は,ベンチマーク・テストLINPACKで135.3テラFLOPSを記録した(関連記事)。このBlueGene/Lは,DOEの研究部門である米国家核安全保障管理局(NNSA)管轄下のローレンスリバモア国立研究所(LLNL)で現在構築を進めており,2005年中に完成する予定。最終的な規模は,64ラック構成で13万個のPowerプロセサを搭載する。演算速度は最大360テラFLOPSと見込む。

◎関連記事
米IBMとローザンヌ工科大,22.8テラFLOPSの「Blue Gene」で脳の動きをシミュレーション
米IBMのスパコン「BlueGene/L」が135.3テラFLOPSを記録,米エネルギー省の発表
米IBM,スパコン「Blue Gene」のオンデマンド提供サービスを発表
「2006年、スパコン全モデルにLinuxを」、米クレイのCEO語る
100万円台の個人向けスパコンが日本上陸
米SGI,米国防総省にプロセサ2048基搭載のスパコン納入
「金融がLinuxスーパーコンの大市場になる」――ニイウス代表取締役 末貞郁夫氏
2004年のスパコン・ランキング,米IBM「BlueGene/L」が「地球シミュレータ」を抜きトップに

[発表資料へ]