米Light Readingの「Byte and Switch Insider」誌が,SAN市場のファイバ・チャネル(FC)とiSCSIに関する調査結果を米国時間6月9日に発表した。それによると,両技術はSAN市場で住み分けており,2006年以降はそれぞれの得意とする分野の違いがさらに明確になるという。

 Byte and Switch Insider誌は,「iSCSI技術を使うIP SAN製品はこの12カ月間に大きく拡大した」と述べる。具体例として,米Network Appliance(NetApp)の総売上高に対するiSCSI製品の割合が17%に上昇したこと,米Dell,米EMC,米IBMがローエンド・システム分野に参入したこと,米EqualLogic,米Intransa,米LeftHand Networksといった新規参入組の収益が急増したことを挙げた。

 iSCSIがSAN市場でFCに近い地位を得るまでには長い時間がかかったという。「当初iSCSIは,部門ストレージや小企業向けストレージに適した低価格と管理性が売りだった。しかし,FCが優れた性能と拡張性で企業分野に定着したのに対し,iSCSIはこの部分で劣っている。こうした長所と短所により,両技術はさまざまな面で補完し合っている」(同誌)

 Byte and Switch Insider誌編集主任のDave Raffo氏は「“iSCSI SANはFCを置き換える”という考えはそろそろ捨てる時期に来た」と指摘する。「iSCSIとFCは今も競合状態にあり,特にローエンド市場での競争が激しい。最大手のFCベンダーでさえ,低価格FC SAN製品を提供することでリスク分散を図っている。これは,iSCSI製品が中小企業市場に食い込んでくることを恐れているからだ」(同氏)

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