米下院議員のLamar Smith氏は米国時間6月8日に,米国の特許制度を改正する法案「Patent Reform Act of 2005」を提出した。下院議会が同日明らかにしたもの。現在の先発明主義から先願主義に移行するなど,「ハイテク企業などに混乱をもたらしている特許制度を改革する」(同氏)。

 同法案について,同氏は「創造性を発揮するよりも特許侵害訴訟を起こした方が“まし”という,現行制度で可能な反則すれすれの法的戦略を排除できる」と述べる。「個人や企業は発明の研究と商業化に必要な資金を得やすくなり,事業拡大,雇用創出にもつながる。さらに,世界の国々がうらやむような製品やサービスを米国国民にもたらすことになる」(同氏)

 同法案は,特許を最も早く出願した発明者に特許権を与える先願主義の採用を規定した。現在米国では,出願時期とは関係なく最初の発明者に権利を付与する先発明主義をとっている。現行特許法(Patent Act)のもとでは出願時に“発明の実施のための最良の形態(best mode)”を記載する必要があるのに対し,同法案ではこれを不要とする。

 また,全特許の公告期間を18カ月に延長するほか,特許成立後6カ月以内であれば異議申請できるものとする。

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