米Microsoftは米国時間6月8日,欧州向けの「Windows Media Player」を搭載しないOS「Windows XP Home Edition N」「同Professional N」を6月15日にリリースすることを明らかにした。同OSは,欧州連合(EU)の独禁法当局である欧州委員会(EC)の是正命令に従ったもの。英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,スペイン語対応バージョンをコンピュータ・メーカー向けに提供する。小売店やボリューム・ライセンスなどのチャネル向けには,7月1日に利用可能とする。

 チェコ語,デンマーク語,オランダ語,フィンランド語,ギリシア語,ハンガリー語,ノルウェー語,ポーランド語,ポルトガル語,スウェーデン語対応バージョンのリリースは,コンピュータ・メーカー向けが7月1日,その他のチャネル向けが7月15日となる予定。

 ECは,Microsoft社が欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用してサーバーOSやメディア・プレーヤの販売に関して欧州の独占禁止法に違反したと判断し,2004年3月24日に,4億9720万ユーロの制裁金を始め,Windowsのインタフェース情報の開示,Windows Media Player非搭載版OSの提供などを命じる制裁措置を発表した。

 Microsoft社は2005年1月に,Windows Media Player非搭載版OSの名称候補9件をECに提出したが,ECは9件すべてを却下し,Windows XP Home Edition Nと同Professional Edition Nを提案。同社は3月に,この名称を受け入れるとともに,機能変更などに関するECの条件を承諾した。

 コンピュータ・メーカーやエンド・ユーザーは,Windows XP Home Edition Nおよび同Professional Nに,他社製のメディア・プレーヤをインストールできる。同社は両OSのCDを,先週ECに提出したという。

 ちなみに同社は,ECの裁定遵守に関する書類を6月6日に提出している。世界規模の互換性実装や新たなロイヤリティ体系など「数多くの譲歩を提示した」(同社)としている。

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