米連邦議会の会計検査院(GAO)が,連邦政府機関による無線ICタグ(RFID)への対応状況に関する調査結果を米国時間5月27日に発表した。GAOがRFIDシステムのもたらす法的問題について各機関に質問したところ,懸念を示したのは回答のあった16機関のうち1機関だけだった。調査報告書(PDF形式)はGAOのウェブサイトからダウンロードできる。

 米国では複数の連邦政府機関が施設への立ち入りを管理したり資産/文書/物品を追跡したりする目的で,RFIDシステムを既に導入済み,または導入計画中である。たとえば米国土安全保障省(DHS)は,資産や武器,航空機に積み込む荷物の追跡/特定にRFIDを利用している。

 GAOは「RFIDシステムのタグとデータベースにはセキュリティの問題があり,個人情報が漏れたり,特定人物の行動が追跡されたりしかねない」と指摘する。ただし,「既存および新たな情報セキュリティ技術や防御手法,法律による規制など,こうした問題を解決する手段は既に利用可能な状態にある」(GAO)という。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,RFIDを利用中または導入計画中の主な連邦政府機関は13組織ある。GAOが23組織に対して質問したところ,3組織が「職員の行動監視にRFIDを利用する」と認めたにもかかわらず,法的/プライバシ問題を認識していたのは1組織だけだったという。

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[発表資料(PDF形式)]