米国およびカナダの大学による非営利出版活動に関する団体American Association of University Professors(AAUP)は,米Googleの書籍本文検索サービス「Google Print」に対する懸念を表明した。AAUPの上級ディレクタであるPeter Givler氏が,米国時間5月20日付けでGoogle社上級知的財産/製品弁護士のAlexander Macgillivray氏に質問状を送付したもの。

 質問の目的について,Givler氏は以下のように説明する。

 「2004年にGoogle社がGoogle Printの一環である『Google Print for Publishers』への合意を求めた際,多くのAAUPメンバーが協力を約束した。その後2004年12月に,Google社が図書館を対象とする同種のサービス『Google Print for Libraries』を発表したことで,我々は困惑を覚えた。Google Print for Publishersに対する合意を求めるやり取りのあいだ,Google社が同Librariesにまったく触れなかったために不信感が生じたのだ。さらに,その後Google社の行った同Librariesの説明は混乱を助長してしまった。我々は,大規模な著作権侵害が組織的に行われる危険性を心配している」

 こうした懸念を解消するため,Givler氏はGoogle社に16項目の質問を送った。主な内容は以下の通り。

・「図書館が書籍を購入した後なら使用許可の合意は不要」と考えるのはなぜか?

・「図書館内の書籍であれば複製は正当な利用にあたる」と主張する理由は?

・Google Print for Publishersへの参加合意を自動的にGoogle Print for Librariesの合意へ拡大解釈することの根拠は?

・検索用インデックス作成システムを運用するために,書籍のデジタル・コピーを何部とる予定か?

・こうしたデジタル・コピーの不適切な利用をどのように防止するつもりか?

・Google Print for Librariesへの登録を拒否するオプト・アウトの仕組みは設けるのか?

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