次世代光ディスク規格Blu-ray Disc(BD)の推進団体Blu-ray Disc Association(BDA)は,「関連企業がメディア生産技術の開発に取り組んだことにより,量産に向けた環境が整いつつある」などとする声明を米国時間5月25日に発表した。

 BDAは「BD普及が総合的なメディア量産プロセスの成熟につながる」と述べる。「多くの企業が,(BD対応読み取り専用規格である)BD-ROMメディア量産のさまざまな部分で試みを行っている。その結果,プロセスと技術分野で数多くの改善が進み,極めて高いコスト効率でメディアを複製する大量生産が可能となる」(松下電器産業非常勤取締役の津賀一宏氏)

 こうした改善の具体例として,BDAはフィルム・ボンディングとスピン・コーティングによる保護層製造技術を挙げる。特にフィルム・ボンディング技術は帝人の新型フィルムを使うことで,保護フィルムの製造コストが従来のポリカーボネート素材に比べ3分の1になるという。BDAメンバー企業であるドイツのDegussaは「量産開始当初のメディア1枚当たりコストを0.01~0.09ユーロ」と見込む。

 ドイツのSINGULUS TECHNOLOGIESは,目標サイクル・タイムが3秒という複製システムを開発した。完全に量産を開始した場合の歩留まりは90%以上とみる。

 また,ソニーは新しいマスター・メディア製造装置(スタンパ)を開発し,現在のDVDで11段階必要なプロセスを,BD-ROMでは5段階に減らした。このスタンパの採用した製造プロセスは「Phase Transition Mastering(PTM)」と呼ぶ。製造に必要な設備の面積は既存DVDマスタリング設備の5分の1で済むうえ,単一システムでDB-ROMとDVD-ROMの両マスター・メディアを作れる。同スタンパ初の商用装置2台は,フランスThomson傘下のTechnicolor社とカナダCinram Internationalが2005年第2四半期に導入する。

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[発表資料(PDF形式)]