米American Management Association(AMA)は,企業による従業員監視の実態を調査した結果を米国時間5月18日に発表した。その結果,企業は,生産性の管理とリソース保護のために,従業員によるコンピュータと電話利用の監視,ビデオカメラによる監視を行なっている企業が増加していることが明らかになった。

 調査はAMAが,米ePolicy Instituteと共同で,米国企業526社を対象に実施したもの。近頃では,キーロガーや携帯電話ユーザーの居場所を割り出すGSPといった新しい技術により,企業は従業員をより細かく監視できるようになっている。

 調査の結果,企業は技術関連のポリシーを強化していることが明らかになった。企業の26%はインターネットの悪用を理由に従業員を解雇している。また別の25%は電子メールの悪用,6%が電話の悪用で従業員を解雇している。

 企業は従業員のコンピュータ利用について,不適切なネット・サーフィンをもっとも懸念しており,75%が従業員によるWebサイトへの接続を監視している。65%は不適切なサイトへの接続をソフトウエアで遮断している。

 コンピュータの監視はさまざまな方法で行なわれており,36%の企業は,コンテンツ,キーストローク,キーボードの使用時間を監視している。別の50%は,従業員のコンピュータ・ファイルの保管と検閲を行なっており,電子メールでは55%がメッセージの保管と検閲を実施している。

 ePolicy Institute常任理事のNancy Flynn氏は,「訴訟に対する懸念,そして訴訟や監査機関による調査において電子的な証拠が採用されることへの懸念から,ますます多くの企業が電子技術ポリシーを施行するようになっている」とコメントしている。

 前年の調査では,訴訟や法規制に基づく調査の一環として,従業員の電子メール提出を求められた経験がある企業は20%に達しており,従業員の電子メールが原因で訴訟に巻き込まれたことがある企業は13%だった。

 同氏は,「訴訟,セキュリティ侵害やその他の障害が発生した場合に備え,企業は技術ツールを利用してコンピュータ・システム,電話,その他の電子リソースの誤用や意図的な悪用を含む人為的な問題に取り組むべきである」とする考えを明らかにしている。

 従業員の通話時間と通話先を監視する企業は,2001年の9%から51%に急増している。また,会話の内容を録音する企業の数も4年前の9%から19%に増加している。

 51%の企業は,窃盗,暴力,妨害行為を監視するためにビデオカメラを導入している。この割り合いは,2001年の調査では33%だった。従業員の職場におけるパフォーマンスを監視するためにビデオカメラを使う企業も増加している。10%の企業は,一部の職種に就く従業員のビデオ監視を実施している。6%の企業はすべての従業員に対してビデオ監視を行なっている。ビデオ監視を行なっている企業の85%が,そのことを従業員に知らせているという。

 その他にも,5%の企業がGPS技術を使って携帯電話を監視していることが明らかになった。また,8%はGPS技術で社用車の監視を行なっていた。同技術で従業員のID/スマートカードを監視する企業も8%あった。

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