カメラマンで構成する団体OpenRAW Working Groupは,デジカメ・メーカーにRAWファイル形式の公開を要求する目的でWWWサイト(www.OpenRAW.org)を米国時間4月25日開設した。

 OpenRAWは,RAWファイル形式の仕様が公開されないことによって生じる問題を解消するために結成されたグループ。同サイトを通じてデジカメ・メーカーに固有のRAWファイル形式の仕様公開を求めるとともに,一般ユーザーに仕様の非公開により将来直面する可能性があるリスクを伝える。

 デジタル技術は,写真業界に大きな変革をもたらしている。RAWファイル形式は高い品質とおよび創造性を備えているため,多くの本格派カメラマンに利用されている。しかし,仕様が標準化されておらず,カメラ固有のRAW形式が採用されているため,画像処理の選択に制約を受ける場合がある。また,メーカーが旧モデルのカメラで使われたRAW形式のサポートを打ち切る可能性があるため,大量の画像ファイルが読み取れなくなるおそれがある。

 同グループのJuergen Specht氏は,「OpenRAWの主な戦略は,一般ユーザーとメーカーを啓蒙することにある。カメラマンがどのような危険にさらされているか,またデジカメ・メーカーがRAWファイル形式の仕様を公開することによって増強される収益性を理解すれば,われわれの目標は達成されるだろう」とコメントしている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,現在キヤノン,ニコン,ソニーを始めとする多くのメーカーが顧客に対して非圧縮画像をカスタムの形式で保存することだけを認めている。この形式が文書化されていないため,デジカメを使うカメラマンで懸念が高まっているという。すでにキヤノンは,製造中止になったモデル「EOS D30」で撮影された画像が最新の編集ユーティリティで開けないことを明らかにしている。

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