米Microsoftが,分散型システムを設計,導入,運用する方法の簡易化/自動化を目指す構想「Dynamic Systems Initiative(DSI)」への取り組みを強化すると,米国時間4月20日に発表した。「特に仮想化分野に注力する」(Microsoft社)としている。

 Microsoft社CEOのSteve Ballmer氏は,ネバダ州ラスベガスで開催しているMicrosoft Management Summit(MMS)2005の基調講演で,「仮想化と仮想化管理技術の両分野に対する投資を増やす」という方針を明らかにした。そのうえで,短期的な製品計画と,長期的な戦略を述べた。

 短期的には,サーバー用仮想マシン・ソフトウエア「Virtual Server 2005」の性能および向上の改善と,システム管理ソフトウエア「Microsoft Operations Manager(MOM)2005」の管理性向上を図る。具体的な内容は以下の通り。

・「Virtual Server 2005 Service Pack 1(SP1)」のベータ版を同日公開した。64ビット対応としたほか,性能と可用性を高めたという。最終版は2005年末までに利用可能とする予定

・Virtual Server 2005 SP1上で動作するサード・パーティ製ゲストOSの種類を増やすため,業界のパートナ企業と協力する

・Virtual Server 2005用のMOM 2005管理パックを提供し,物理および仮想マシンの両方の動作を集中管理できるようにする

・仮想ハード・ディスク機能「Virtual Hard Disk(VHD)」をロイヤルティ・フリーでライセンス供与し,パートナ企業によるVHD対応ソリューション開発を支援する。VHDファイル・フォーマットの機能強化と拡張も継続して行う

 長期的な戦略の概要は以下の通り。

・「Windows hypervisor」技術をベースとするWindowsプラットフォームに対し,仮想化機能を組み込む。Windows OSの次期版「Longhorn」(開発コード名)に搭載する予定

・Windows hypervisor技術を,米IntelのVirtualization Technologyや米AMDのPacificaといった仮想化仕様に対応させる

・Windows Server System向け統合管理スイート「System Center」製品系列に対する投資を強化する

 また同社は同日,ネットワーク・セキュリティ管理に対する取り組み強化策を発表した。コンピューティングとセキュリティに関する業界団体Trusted Computing Group(TCG)のTrusted Network Connect(TNC)アーキテクチャと,企業ネットワーク向けセキュリティ技術「Microsoft Network Access Protection(NAP)」との互換性確保を目指す。NAPは,Windows Server 2003の次期版「Longhorn Server」(開発コード名)で利用可能になると見込む。

 なお,米Dell,米Hewlett-Packard(HP),米Juniper Networks,米McAfee,米Sygate Technologies,米Symantec,米VeriSignといった企業が,TCGとNAPの両活動に参加しているという。

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