米Microsoftが,研究組織Microsoft Researchなどで開発した技術や知的財産(IP)をさまざまな企業にライセンス供与する取り組みを米国時間4月11日に発表した。

 取り組みの目的について,Microsoft社IP&ライセンシング・グループ事業開発担当ディレクタのDavid Kaefer氏は「“特許を何件かライセンスしてちょっともうけよう”などと考えている訳ではない」と述べる。「当社の初期段階にあるアイデアから商業的可能性を最大限引き出せるパートナ企業にとって,成長のきっかけになればと思う」(同氏)

 多言語処理やフォント開発を手がける米Ascenderは,Microsoft社から複数のWindows用フォントのライセンスを受ける。これにより,通常Microsoft社製品でしか利用できなかったWindows用フォントが,Ascender社製品でも使えるようになり,Windowsとの互換性確保につながる。

 米Inrixは,Microsoft Researchの開発したリアルタイム交通予測技術を用い,新たな交通情報サービスの開発に取り組む。「SmartPhlow」「JamBayes」「ZoneZoom」(いずれも開発コード名)といった技術の独占使用権を獲得し,米国全域を対象とした交通状況のリアルタイム予測システムを作り,サービス・プロバイダ,機器メーカー,各種Webサイト,モバイル・ソリューション・プロバイダに提供していく。Inrix社では,交通情報サービスの提供を2005年末までに開始できると見込む。

 またMicrosoft社は,無線ネットワーク機器向けのライセンス・プログラム「Windows Connect Now(WCN)」を通じ,米D-Link Systems,スイスBridgeCo,米Lexar Media,アイ・オー・データ機器,米GoVideo,米SMC Networksといったハードウエア・ベンダーにIPをライセンス供与する。

◎関連記事
「米国特許制度を改正すべき」,米Microsoftが改善プランを提案
「オープンソースと共存したいが,GPLは問題」――マイクロソフト 法務・政策企画本部統括本部長 平野高志氏
米Microsoft,「年内に3000件の特許申請,2005会計年度に7000人を新規採用」
米Sunが「Solaris 10」をオープンソース化,関連特許1600件も無償提供
IBMが500件の特許をすべてのオープンソース・ソフトウエアに許諾
「500件の特許公開」で見えたIBMとMicrosoftの知財戦略の違い
「2004年の米国特許取得No.1企業は米IBM,2位は松下」,米特許商標庁の速報
米団体が「パブリック・ドメインに敵対する特許」10件を公表,任天堂も対象に

[発表資料へ]