日立製作所の米国法人Hitachi Global Storage Technologies(Hitachi GST)は4月4日,面記録密度230Gビット/平方インチの垂直磁気記録方式ハード・ディスク装置(HDD)を開発したと発表した。同技術を適用すると,記憶容量20Gバイトの1インチ型HDDや,1Tバイトの3.5インチ型HDDが実現できるという。

 垂直磁気記録方式は,HDD内の記録メディアに垂直方向の磁界をかけてデータを記録する。水平方向の磁界をかける現在の面内記録方式(水平磁気記録方式)HDDに比べ,1単位のデータ記録に必要な面積が少ないため,記録密度を高められる。

 同社によると,面内記録方式では,120Gビット/平方インチを超える記録密度だとデータ保持が困難になってしまうという。同社は「230Gビット/平方インチという記録密度は,現時点で最も高密度の面内記録方式の2倍に相当する」と述べる。

 同社は,2004年12月から垂直磁気記録方式HDDの実地運用試験を行っている。「2007年に商用製品で同方式を採用できると見込む。5~7年後には,記録密度を現在の面内記録方式の10倍に上げ,60Gバイト1インチ型HDD実現への道を開く」(同社)

 また日立の米国法人Hitachi Data Systems(HDS)は同日,ストレージ・プラットフォーム「TagmaStore Universal Storage Platform」用のNASプレード製品「Hitachi NAS Blade」を発表した。「価格は競合NAS製品の3分の1で,既存のNAS/SANと共存可能」(HDS)とする。

 NASクラスタ1システム当たりの記憶容量は最大512Tバイト。TagmaStore Universal Storage Platformシステム1セット当たりの記憶容量は最大2Pバイト。既に利用可能となっている。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,記憶容量1.2Tバイトでソフトウエアが付属する構成時の価格は8万6700ドルという。

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[発表資料(Hitachi GST社)]
[発表資料(HDS社)]