米Rambusが,DRAMアクセスをマルチ・スレッド化する技術「マイクロ・スレッディング(micro-threading)」を米国時間4月4日に発表した。同技術を使用すると,3次元(3D)グラフィックス,ビデオ,ネットワークのルーティングやスイッチングなどの処理時に,メモリー・アクセス性能を従来型DRAMに比べ最大4倍高速化できるという。

 Rambus社は「一般的なDRAMの場合,1回のアクセス操作で扱うデータ・サイズはアプリケーションが必要とするサイズよりも大きく,少ないデータの転送に大きな帯域幅を消費してしまう」と説明する。この問題を解決するため,マイクロ・スレッディングではDRAMで一度に扱うデータを小さなサイズに分けることで,帯域幅の利用効率を高めるとともに,消費電力の低減も図る。

 具体的には,DRAMコアの異なる領域にそれぞれ別のアドレスを割り当てておき,メモリー・コントローラがDRAMに列アドレスを指定する信号(RAS:Row Address Strobe)と行アドレスを指定する信号(CAS:Column Address Strobe)を生成する際に,小さな単位のアクセス指示を複数同時に出せるようにする。複数バンクから同時に読み込んだデータは,最終的に1回のデータ・アクセスにまとめる。

 ゲームや画像処理ソフトウエアなどの写実性の高いインタラクティブな3Dアプリケーションは,扱う画像が複雑になるほど,画像の構成要素であるポリゴンが小さくなり,その数が増えるという。「3Dアプリケーションで使用する標準的なグラフィックス処理用メモリーGraphics Double Data Rate(GDDR)SDRAMは,1秒間に5000万~1億2500万個の三角形データを扱える」(同社)。同じGDDR SDRAMにマイクロ・スレッディングを適用すると,同社は「1秒間に1億~5億個の三角形データが転送できるようになる」と見込む。

 「三角形データのレンダリング速度が上がると,画質が向上し,操作感が改善する。マイクロ・スレッディング技術は,比較的少ないコスト追加で既存のDRAMコアに適用可能だ。ただし,メモリー・サブシステム全体の性能向上を実現するには,DRAMコアだけでなく,DRAMコントローラも同技術に対応させる必要がある」(同社)

 Rambus社は同日,同技術のライセンス供与を開始した。なお,同社は同技術で特許を申請している。

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