米Microsoftは,欧州連合(EU)の独占禁止法当局である欧州委員会(EC)からの命令に従い,「Windows Media Player」非搭載版OS「Windows XP Home Edition N」「Windows XP Professional Edition N」(関連記事)の機能を変更するとともに,取り除いたメディア機能を追加するためのソフトウエア・パッケージを用意する。Microsoft社が米国時間3月29日に明らかにしたもの。

 同社はWindows XPからWindows Media Playerを削除することに関連し,ECが要求していた以下の条件を承諾した。

・OSのヘルプなどから,Windows Media Player非搭載の影響で動作しなくなるソフトウエア・パッケージ製品に関する記述を削除する

・非対応となるすべてのメディア・ファイルを利用可能とするための,別売ソフトウエア・パッケージ製品を用意する

・関連する複数のレジストリ設定を変更する

 同社とECの独占禁止法違反にかかわる経緯は以下の通り。

 ECは,同社が欧州市場におけるパソコンOSの独占的立場を悪用し,サーバーOSやメディア・プレーヤの販売に関して欧州の独占禁止法に違反したと判断。2004年3月24日に,4億9720万ユーロの制裁金支払いを始め,Windowsのインタフェース情報の開示,Windows Media Player非搭載版OSの提供などを命じる制裁措置を発表した。

 同社はこれが「当社に回復不能な影響を与える」として同年6月7日に控訴。続いて,控訴審の判決が出るまで制裁措置の執行延期を求めよう申請した。執行は一時差し止めとなっていたが,裁判所は同年12月に制裁措置の発行延期を退けた

 これを受け同社は2005年1月に,Windows Media Player非搭載版OSの名称候補9件をECに提出。ECは9件すべてを却下し,Windows XP Home Edition NとWindows XP Professional Edition Nを提案した。同社はこの名称を受け入れると同年3月28日に明らかにしている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,今後ECが合意内容に対する違反を見つけた場合は,Microsoft社に日額最大500万ドルの罰金を科す可能性があるという。

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