米EDSの子会社であるA.T. Kearney社は,企業のIT投資に関する調査結果を米国時間3月23日に発表した。それによると,企業幹部の67%が「会社が成功を収めるために,ITの技術革新は重要または必要不可欠」と考えているものの,実際に投資を行っている企業はわずか20%だという。

 調査は,A.T. Kearney社の依頼を受けて米Harris Interactiveが,米国,カナダ,フランスの企業幹部200人以上を対象に,電話でアンケートを実施したもの。対象企業の分野は,金融サービス,消費者製品/小売,加工業界(エネルギ/化学薬品),通信,ハイテク,薬品/ヘルスケア,自動車,輸送など。

 回答者の72%は「企業の技術に関する最も良いアイデアは,企業戦略,販売,マーケティング,営業など,IT部門以外から生まれている」と述べた。実際に企業幹部の47%が,「IT部門は,長期的な戦略要件よりも,日々の技術要求に応えることに焦点を当てている」ことを認めた。「IT部門がビジネス・ニーズに効果的に対応していないため,企業の成長機会がリスクにさらされている」(A.T. Kearney社)

 A.T. Kearney社バイス・プレジデントのMark Livingston氏は「これらの調査結果は,ITが技術の早期実装を先導するという見方を打ち砕くものだ」と説明する。「現実は,IT部門の大半が日々の運用にふりまわされ,技術の革新的な利用方法を模索することができない。企業幹部はこれを踏まえ,戦略的事業目標を達成するための革新技術のリソースを,IT部門の外に求めている」(同氏)

 また,企業とIT部門間の戦略的な連携もスムーズではないようだ。「IT計画と事業計画のプロセスを完全に統合し,同時に展開している」と答えたのはわずか25%で,2002年の32%と比べて減少した。

 「IT部門は,反応が鈍く,小回りがきかない」という見方が増えており,「自社のIT部門はビジネスの変化に十分に対応している」と答えた企業幹部は41%だけだった。さらに,企業幹部の30%以上が「毎年,IT予算の20%以上を無駄にしていると思う」と回答した。

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