米Palm(現palmOne)および米Handspring(後にpalmOne社が買収)の創設者であるJeff Hawkins氏とDonna Dubinsky氏は,神経科学や脳研究の成果を技術分野に応用するための新会社「Numenta」を設立する。両氏が米国時間3月24日に明らかにしたもの。「ほ乳類の皮膚を参考にして新しいタイプのメモリー・アーキテクチャを開発し,パターン認識や学習可能機械といった分野の問題解決を図る」(両氏)

 さきごろHawkins氏は,生物学および知的機械をテーマとする書籍「On Intelligence」を出版した。Numenta社の目的は,同書内の生物理論を技術分野に応用することにあるいう。「我々は“知性のある”メモリー・システムを構築し,機械による画像認識,言語理解,ロボット工学など,解決方法が見つかっていないコンピュータ科学および人工知能分野の難問を解き明かす」(Hawkins氏)

 「当社のビジョンは遠大だ。商業製品の提供まで数年かかるだろうが,この技術には見込みがあり,見通しは明るい」(Dubinsky氏)

 Numenta社のCEOに就くのは,Dubinsky氏。また同社には,主任技術者となるDileep George氏も参加する。現在palmOne社でCTOを務めるHawkins氏は引き続き同職に就く。

 なおNumenta社の社名は,“心”を意味するラテン語“mentis”から付けたという。

 米メディアの報道(internetnews.com)によると,Numenta社が最初に実用化を目指すのは「Hierarchical Temporal Memory(HTM:階層的一時メモリー)」と呼ぶ技術という。

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