フリー・ソフトウエア開発者のHarald Welte氏は,独ハノーバーで開催中の「CeBIT 2005」の会場に出展している商用ベンダー13社に対して「GPLライセンスのソフトウエアを乱用している疑いがある」と警告する書簡を手渡した。同氏が創設したGPLソフトのライセンスを守らせるためのプロジェクトgpl-violations.orgが現地時間3月14日に明らかにした。

 書簡を受け取った企業は,米Motorola,台湾Acer,台湾AOpen,米Micronet,米Buffalo,米Trendwareなどの13社。

 Welte氏は,「フリー/オープンソース・コミュニティは,LinuxとGPLライセンスのソフトウエアを採用する企業が増えていることを喜んでいるが,これらのベンダーがほかのソフトウエアの条項と同じようにGPLの条項に従うことが重要である。今回の警告通知は,誰かがこれらベンダーに法的な手段で訴える前に,自社の製品を修正するチャンスを与えるものである」と説明している。

 同プロジェクトでは,1年以上に渡ってGPLライセンスのソフトウエアを利用するベンダーにライセンスを遵守させるように取り組んできた。GPL違反を指摘する公開書簡から法的手段に至るまでさまざまな手段を用いることにより,前年は25件の問題を解決しているという。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,同氏は電子メールのインタビューで「Linuxの利用条件を定めるGeneral Public License(GPL)ではソースコードの公開が求められているが,これらのベンダーは,自社の製品にLinuxを組み込んでいながらそのソースコードをリリースしていない」と述べている。同氏によれば,CeBit会場で13社のベンダーに異議申し立てを試みたが,3社に拒否されたという。

 CeBitで展示された製品の中で,同氏がGPL違反だと考えている製品の多くは,ネットワーキング機器だという。また,これまでの調査を通じてセットトップ・ボックス,カーナビ・システム,特殊用途ソフトウエアでもGPL違反を見つけていると述べている。

 GPLの条項遵守に関しては,GPLの起草者であるRichard Stallman氏が運営する「Free Software Foundation」が主に監督している。Welte氏は,GPL違反を,より迅速に公の場で解決したいと考えている。

 「究極の目標は,GPLが社会の共有財産ではなく,著作権ライセンスであるという認識を高めることにある。ユーザーはライセンス料を支払う代わりに,ソースコードのコピーを提供し,自分のユーザーにライセンスを引き継がせるのである」(同氏)

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