米IDCが,西欧のセキュリティ・アプライアンス市場に関する調査結果を英国時間3月15日に発表した。それによると,2004年第4四半期の売上高は1億8300万ドルで,前年同期に比べ32.4%増えた。出荷台数は9万台弱で,前年同期比33.3%増加した。
2004年通期では,売上高が6億2700万ドル(前年比52.5%増),出荷台数が約33万500台(同67.8%増)だった。
IDC欧州企業向けサーバー調査チーム上級調査アナリストのOliver Harcourt氏は,「2004年におけるセキュリティ・アプライアンスの急伸は,セキュリティ・ソリューションとしての評判が高まったことを示す」と述べる。「これまでセキュリティ・アプライアンス市場は,導入と管理が容易な点や,総所有コスト(TCO)の低い点が評価されて拡大してきた。2004年は,さまざまな脅威に1台で対応できるUnified Threat Management(UTM)タイプの登場が市場をけん引した」(同氏)
UTMタイプのセキュリティ・アプライアンスは,ファイアウオール,アンチウイルス,侵入検知/防止といった複数の機能を提供する。製品によっては,アンチスパムやURLフィルタリング機能を備えるものもある。2004年第4四半期のセキュリティ・アプライアンス全体に対するUTMタイプのシェアは,台数ベースで23%,売上高ベースで14%を締めた。IDCは「2005年もこの傾向が続き,UTMタイプを投入するベンダーの数が増える」と予測する。
ベンダー別の状況は以下の通り。
・米Cisco Systemsが,総合部門,ファイアウオール/VPN部門,侵入検知/防止部門の売上高および出荷台数で第4四半期と通期のトップになった
・第4四半期の売上高上位ベンダーのなかで,米Symantecが最も大きな成長率(前年同期比138.0%増)を記録した。UTM部門では,第4四半期と通期の売上高1位をとった
・UTM部門の出荷台数1位は,第4四半期が米Fortinet,通期が米Juniper Networks
・総合部門における台数ベース市場シェアの順位は第4四半期と通期で変わらず,1位がCisco社。Juniper社と米SonicWALLがそれに続く
■2004年第4四半期の西欧セキュリティ・アプライアンス市場(売上高ベース) ========================================== ベンダー 市場シェア 前年同期比 ------------------------------------------ Cisco 27.8% 22.4%増 Nokia 13.9% 20.4%増 Juniper 10.6% 16.4%増 Symantec 4.0% 138.0%増 Check Point 2.9% (実績なし) ------------------------------------------ その他 40.9% 33.9%増 ========================================== 出典:IDC(2005年)
◎関連記事
■「企業向け無線スイッチの実売価格は600~800ドル,急激な低価格化は期待薄」,米調査
■「2004年Q4の侵入検出/防止システム世界市場,米Ciscoと米ISSがシェア22%でリード」,米調査
■「セキュリティに対する脅威拡大に伴い,侵入防止システム市場が急成長」,米調査より
■「セキュリティ・イベント管理ソフトは包括的な製品がまだ存在しない」,米Forrester
■企業幹部の4分の3以上がセキュリティを重視,「コスト管理よりも重要」
■「評価の高いセキュリティ・ベンダーは米Netegrityや米Symantecなど」,米調査
■「オンライン攻撃による業務中断,企業の損害は平均200万ドル」,米調査
■「セキュリティ担当者の66%が『自社ネットワークが100%安全になることはない』と回答」,米調査
[発表資料へ]