英Clearswiftは米国時間3月16日,社員による社内電子メール・システムの利用について調査した結果を発表した。それによると,職場における社員の不適切な電子メール・システムの利用は,不愉快な内容のメール回覧,海賊版ソフトウエアのダウンロード,機密情報の漏洩など,企業に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

 調査は2004年12月に,英国,米国,ドイツの社員4500人以上を対象に,オンラインでアンケートを実施したもの。

 性的または差別的な内容のメールを受信/転送したことがある社員は,全体の半数以上に達した。国別にみると,そのような不愉快な内容のメールを日常的に送受信しているのは英国の社員が最も多く,非IT社員で55%,IT社員で31%以上にのぼった。ドイツでは,非IT社員の35%,IT社員の27%が送受信したことがある。米国のIT社員は27%だった。

 Clearswift社CEOのDavid Guyatt氏は,「以前は眉をひそめる程度ですんでいた不愉快なやりとりも,今は企業の責任が問われる時代になっている。訴訟や名誉毀損を回避するためにも,強固な対策を講じることが必要」と指摘する。

 音楽,映画,ゲームやアプリケーションなど,海賊版ソフトウエアのダウンロードを職場で行う社員も多い。英国の社員全体の約10%がダウンロードをした経験があり,非IT社員に限定すれば,その割合は5分の2に達する。米国では8.2%,ドイツでは10.3%の社員がダウンロード経験がある。最も少ないのは,ドイツの非IT社員の2.6%だった。

 企業は,電子メール・データの保管や管理など,規制に準拠するためにもさまざまな対策を講じている。しかし,電子メールを使った機密情報のやり取りは依然として多く,主としてIT部門の不注意が情報の漏洩につながっていることが分かった。

 電子メールを使って,機密情報を社外に送信したことがあるIT社員は26%以上で,非IT社員の10%を大きく上回った。国別にみると,英国の非IT社員はその割合が4%で,電子メールを使った機密情報のやり取りに最も注意を払っている。米国のIT社員は,英国やドイツのIT社員と比べ,やや注意深い程度だった。

 職場でスパム・メールに返信したことがある社員は約5%。Guyatt氏は,「ウイルスや悪意のあるコードはスパムを介して広められることが多く,思いのほか多くの社員がスパムに返信しているのは,憂慮すべき結果である」と述べた。

 職場でWebメールを日常的に利用している社員は45%だった。職場におけるWebメールへのアクセスについては,厳しい規制を設けていない企業が多い。しかしClearswift社は,社員によるWebメールへのアクセスは,ウイルスやトロイの木馬など電子メールを介したセキュリティの脅威や,機密情報の漏洩につながるバックドアに成り得ると,警告している。

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