ドイツのSAPが買収することで合意に達していた米Retekに対し,米Oracleが株式の公開買付を仕掛けたことを受け,SAP社はドイツで現地時間3月9日に声明を発表した。

 SAP社は,「当社は,アプリケーション統合プラットフォーム『NetWeaver』を通じて,.NETとJavaの両環境との相互操作性を実現している。そのため,Retek社とSAP社の顧客に,迅速でシームレスなアプリケーション統合に向けた,より良い手段を提供できる」と述べた。「データベース・レベルではなく,アプリケーション・レベルの統合こそが,変化の激しい小売り販売業界で即応性のあるITインフラ構築を目指す企業に,競争力を与えるのだ」(同社)

 SAP社は2月28日に,小売業界向けソフトウエア・ベンダーのRetek社を買収することで,両社が合意に至ったと発表。Retek社の株式1株当たり8.50ドルで公開買付を実施しており,Retek社役員会も,自社株主に対し,SAP社の公開買付に応じるよう勧告している。

 しかし,Oracle社がRetek社株式の公開買付を3月9日に開始することを宣言。買付金額は1株あたり9ドル。なおOracle社は,3月7日と8日に,Retek社の全発行済み株式の約10%にあたる550万株を購入済みだという。

 またOracle社は同日,Retek社の顧客およびパートナ企業に向けた手紙を公開した。Oracle社社長のCharles Phillips氏は,Oracle社がRetek社を買収する場合,1)両社の製品に重複がないため,Retek社技術への投資を拡大すること,2)両社共通のビジョンを掲げた明確な製品ロードマップを提供すること,3)Retek社の既存パートナに対するサポートを継続することなどを説明した。

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[発表資料(SAP社のプレス・リリース)]
[発表資料(Oracle社のプレス・リリース)]