大手テクノロジ企業8社が集まり,企業の電子情報に関する法規準拠を支援するワーキング・グループ「Compliance and Management of Electronic Information(CMEI)Working Group」を,インターネットに関する法制度を検討する非営利の国際団体「Internet Law & Policy Forum(ILPF)」内に発足させた。ILPFが米国時間3月7日に明らかにしたもの。メンバー企業は,日立製作所の米国法人Hitachi Data Systems(HDS),米Hewlett-Packard(HP),米Network Appliance,米Open Text,米Oracle,英Plasmon,米Sun Microsystems,米VERITAS Software。

 CMEIワーキング・グループは,電子情報の保持および管理に関する法規準拠を支援するために,ベスト・プラクティス,チェック・リスト,準拠要件の概要などを提供する。また法律制定者に助言を行い,テクノロジ企業,規制当局,政府関係者が法規準拠ついて論議する場を設ける。

 米AMR Researchによると,米国企業は2005年に,米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)の準拠に限定しても,61億ドルを費やす見通しである。同法以外にも,連邦政府,州政府,国際法が定める規制など,企業は法規準拠に多大なリソースを投資しなければならない。

 しかし,さまざまな法規制が進む一方で,規制同士が抵触することも多く,企業はコスト面以外にもさまざまな問題に直面しているという。「例えば,米国に本拠を置き,英国に支社を持つ企業は,両国の法規に準拠する必要がある。ところが米国の法規が,顧客データなどすべての電子記録を7年間保持することを義務づけているのに対し,英国では顧客の契約が終了した時点で,すべての顧客情報を破棄しなくてはならない。つまり,企業はどのみち違反を犯すことになる」(ILPF)

 同ワーキング・グループ議長のHarald Collet氏は,「企業は法規に準拠するために膨大なリソースを割り当てているが,具体的なノウハウを持たない場合が多い」と指摘する。「我々の目標は,日々の業務に与える影響を最小限にとどめ,効率的かつ効果的に法規準拠を行うために必要な情報を提供すること」(同氏)

 また,ILPF執行ディレクタのAndrew Konstantaras氏は,「ILPFは,ビジネスとテクノロジの両方にまたがる難題を実質的かつ客観的に分析できるので,CMEIワーキング・グループを主催するうえで適役と言える」と述べている。

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