欧州連合(EU)の閣僚理事会はベルギーで現地時間3月7日,コンピュータ・ベースの発明に関するソフトウエア特許指示草案を多数決で採択したことを明らかにした。
これにより,同草案は欧州議会の第二次審理へと進む。ちなみに,欧州議会は同草案の差し戻しを要求していた(関連記事)が,これが無視されたかたちとなった。
今回の投票では,スペインが反対票を投じ,オーストリア,イタリア,ベルギーが棄権した。
理事会は同草案について,「コンピュータで実装される発明の効果的で透明性のある調和的な保護を目的としている。これにより,革新的企業が自社の発明により最大限のメリットを得られるようになり,投資や技術開発にはずみがつく」と説明する。「EU加盟国が,コンピュータ・ベースの発明に関する特許性についてそれぞれ異なる行政慣習や法規を持てば,取引に障害が生じ,正常な市場機能を妨げることになる」(理事会)
米メディアの報道(InfoWorld)によると,同草案を支持する欧州情報通信技術産業協会(EICTA)には,米Microsoft,フィンランドのNokia,米Adobe Systems,米Apple Computer,米Dellなどが含まれる。同協会事務局長のMark McGann氏は,「同草案は欧州ハイテク業界と欧州経済にとって,非常に重要だ」と述べた。一方,反対派の米Sun Microsystemsは「同草案の可決は,米国スタイルの特許制度への道を開くものだ」と非難している。また,デンマーク,キプロス,ラトビア,ハンガリー,オランダ,ポーランドが今回の採決に懸念を表明しているという。
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