米国のコンピュータ技術産業協会(CompTIA)は,無線ICタグ(RFID)に関する調査結果を米国時間3月2日に明らかにした。同社によれば,RFIDの専門技術者の数が不足しており,同技術の普及に影響を与える可能性があるという。調査結果は,米ダラスで開催されているコンファレンス「RFID World 2005」において発表された。

 調査により,企業の80%は,市場に採用できるRFID技術者の数が不足していると考えていることが明らかになった。3分の2(66.7%)は,RFID市場において成功するために従業員のトレーニングと教育がもっとも大きな課題であると回答している。

 CompTIA電子商取引担当副社長のDavid Sommer氏は,「市場は,RFID技術に対する現在と将来の需要に応えるために,同技術を提供できる多数のシステム・インテグレータを必要としている。技術者に関しては,数十万人の単位で必要とされている」とコメントしている。

 調査は,サービス,政府機関,製造業,小売り,医療,通信,金融サービス,不動産といったさまざまな業界に属する企業を顧客に抱えている企業に対して実施されたもの。それによれば,RFIDソリューションを導入している顧客数は多くないという結果が出た。回答者の71.4%は,顧客がRFIDソリューションを実装していないと答えている。RFIDソリューションを実装している顧客を抱えると回答した企業でも,同技術を導入しているのは顧客の20%未満だという。

 80%の企業は,同技術実装に関する調査段階にある,またはまったく調査を行なっていないと回答している。顧客または自社向けにPFIDプロット・プロジェクトを実装していると回答したのは16%だけだった。

 この先3年間以内にRFID製品/サービスの提供を始める可能性について質問したところ,37.3%は提供する,と回答した。顧客からの要望があれば検討する,と回答したのは39.2%だった。提供するサービスは,ハードウエア実装/メインテナンス・サービスが82.1%,ソフトウエア実装が61.5%,その他のサービスが51.3%だった。

 CompTIAは,技術不足に対処するためにRFID市場における主要企業との協調している。製品メーカー,ディストリビュータ,システム・インテグレータ,教育/トレーニング・プロバイダなどが協力して,特定のベンダーに依存しないRFID技術に関する専門の認定を作成するために取り組んでいる。

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