英Clearswiftは,2005年1月のスパム・メール状況に関する調査結果を英国時間2月16日に発表した。それによると,同月は株式情報やさまざまな金儲けに関するスパムが急増している。同社は,景気の回復,消費者信頼感指数の上昇,公開買い付けや買収のニュースや噂を受け,スパマーが経験の浅い投資家を騙そうとしているとみている。

 Clearswift社の調査によれば,株関連のスパムは前月から406%上昇している。1月に送信されたスパムのうち,金融関連のものが全体の17.71%を占めている。前月の割り合いは15.03%だった。

 同社リサーチ・ディレクタのAlyn Hockey氏は,「これらのスパム送信者が,有利な情報を持っていることは無く,投資することにより利益を得ることは無いと思われる。被害者が株を購入して株価が上昇した後にスパマーが自分の株を売却して利益を得ることを目的としている可能性が高い」と説明している。

 同社の研究チームが株式情報に関する最初のスパムを発見したのは前年4月だった。これは,偽の株式情報により1ドルを下回る格安株の株価を上昇させようとする試みだった。バイヤーをうまく誘い込んだ後に,この株式は直ちに投げ売りされている。

 この手の詐欺に対する認識は高まっているものの,これらのスパムは巧みで説得力があるため,経験の浅い投資家は騙される危険があるという。1月のスパムの内訳をみると疑わしい金儲けに関連するものが急増しており,全体の41%を占めている。

 ヘルスケア関連のスパムは依然として多く,全体の44.8%を占めている。米Microsoftと製薬会社大手のPfizerは,インターネット・ユーザーに安くて非合法なバイアグラを売るといって騙しているWebサイトの運営者とスパマーに対して訴訟を起こしたことを2月10日に発表している。これらのアクションにより,Clearswift社はスパムの状況にも変化が生じる可能性があるとしている。

 昇進や昇給を目的として偽の学位を販売する広告は,その他の部門の38%を占め,スパム全体の6.10%となった。また,今回の調査で,初めて音楽と映画のダウンロード・サービスに関するスパムが増加している。これらのスパムは,その他の部門で23%を占めている。同部門では,前月のiPodスパムに続いてiTunesスパムが出現している。

◎関連記事
米EarthLinkが新たに迷惑メール送信者を提訴,4件の訴訟を起こす
Microsoftが「V1agra」スパマーに対し訴訟
「2005年第1~6週のIMワーム,前年同時期と比べ3倍以上増加」,米調査
「携帯電話ユーザーのスパム対策,番号ではなく事業者を変更」,米調査
「メール・リレーのスパムが増加,2006年半ばにはメールの95%がスパムに」,英調査

発表資料へ