米Microsoftは米国時間2月15日に,セキュリティ強化に向けた製品ロードマップを明らかにした。サンフランシスコで開催中のセキュリティ関連のカンファレンス「RSA Conference」で,同社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が発表したもの。

 Gates氏は,「当社の第一目的は,バランスの取れた技術開発力や指導力を通じて,消費者とあらゆる規模の企業に対してセキュリティおよび安全性の強化を図ること」と述べた。

 同社は,Webブラウザの最新版「Internet Explorer(IE)7.0」のベータ版を今夏にリリースする。IE 7.0は「Windows XP Service Pack 2(SP2)」上で動作する。フィッシング,悪意のあるソフトウエア,スパイウエアなどに対する防御機能を強化しており,「Windows XP SP2のセキュリティ・レベルをさらに引き上げる」(同社)。

 また同社は,スパイウエア対策ソフトウエア「Windows AntiSpyware」の最終版(個人向けバージョン)を無償提供する。Windows AntiSpywareは,Microsoft社が2004年12月に買収した米GIANT Company Softwareの技術をベースにしており,「パソコンの速度低下,ポップアップ広告の表示,意図しないインターネット設定の変更,個人情報の漏えいなど,スパイウエアによるさまざまな悪影響を取り除ける」(同社)。同ソフトウエアのベータ版は,1月6日に配布を開始して以来,ダウンロード件数が60万件を超えたという。

 今回発表したその他の主な内容は以下の通り。

・消費者および小企業向けの統合アップデート・サービス「Microsoft Update」のベータ版を3月半ばに開始する。「Windows XP」「Windows 2000」「Windows Server 2003」「Office 2003」「Exchange Server 2003」などに関するセキュリティ・アップデートを一元的に行える

・中~大企業向け統合アップデート・サービス「Windows Update Services」の最終版を2005年前半に利用可能にする。システム管理者は,より幅広い同社製品に関するアップデートを,社内のネットワーク全体に適用できる

・サーバー向けセキュリティ・ソフト「Internet Security & Acceleration(ISA)Server 2004」の「Enterprise Edition」を製造工程向けにリリースした。一般向けリリースは3月の予定。主要アプリケーションへの社員および提携事業者のリモート・アクセス,支社から本社ネットワークへの接続などに関するセキュリティ強化を図ったほか,悪質な侵入者の遮断機能を向上した

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]