米Intradoは米国時間2月9日,携帯電話に送られる“モバイル・スパム”について調査した結果を発表した。それによると,携帯電話ユーザーの8割以上がスパムを受信したことがある。また,ユーザーはスパムに対抗するために,携帯電話の番号を変えるより,モバイル事業者を乗り換える傾向が強い。

 調査は,Intrado社がスイスのザンクトガレン大学(University of St. Gallen)と共同で,2004年11月~12月にかけて実施したもの。ITU(国際電気通信連合)の協力を得て,米国,カナダ,ドイツ,スイス,オーストリア,シンガポール,中国,サウジアラビアなどの携帯電話ユーザー1659人とモバイル事業者の社員154人を対象にアンケートを行った。

 モバイル・スパムに関する苦情の矛先は,その大半がモバイル事業者に向けられている。ユーザーの多くは,自身が行うスパム対策は効果が薄いと考えており,モバイル事業者による対策を最も重視しているからだ。またユーザーは,モバイル事業者によるサービス案内などのメッセージもスパムとみなしていることが分かった。

 消費者とモバイル事業者はいずれも,スパム問題が今後悪化すると予測している。また,モバイル事業者の社員83%は,今から1~2年以内にスパムが重大な問題になるとみる。

 モバイル事業者にスパム対策を尋ねたところ,「他社とのローミング提携の解消」と「苦情ホットラインの設置」という回答が最も多かった。米メディア(InfoWorld)によると,数社のモバイル事業者がローミング契約を5~6件解消しており,30件以上解消したという事業者も少数ながらあったという。

 モバイル事業者は,スパムが顧客に及ぼす影響を認識している。しかし現在は,さまざまな技術対策を試行錯誤している段階にある。

 「モバイル・スパムに対抗する万能の策は存在しない。しかしモバイル事業者は,身元不明または身元詐称のメッセージを遮断したり,スパム業者に課金するシステムを確立するなどして,スパム削減に貢献できる」(GSMネットワークの業界団体GSM Association,Government & Regulatory Affairs担当オフィサの Tom Phillips氏)

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